エジプト・カイロ在住
鈴木眞吉
女心を歌う歌が少ない
藤あや子の歌「女のまごころ」を聞いていたエジプト人女性が、「エジプトには女心を歌った歌が少ない。男が男心を歌い、女を誘う歌はたくさんあるのに」と、ポツリと話した言葉が印象的だった。
女性が自分の心をあからさまに表現することはみだらで、はしたないことで、イスラム教に反し、してはいけないという観念が一般庶民にまで浸透しているのだ。
イスラム国家であることを改めて感じざるを得なかった。サウジアラビアやアラブ首長国連邦の湾岸諸国などイスラム教が厳しく守られている国では、女性が夫以外の男性に顔や肌を見せないよう頭から足のつま先まで黒ずくめの衣装をまとっている。女性の一人歩きは許されず、車の運転もできない。歌や踊りも禁じられている。
エジプトでは結婚の申し込みは男性からするもので、女性はただ黙って待っているという。日本も戦前までは似たような世相だったので偉そうに言うことはできないのだが、やはりアラブ世界は時代感覚が少しズレている感は否めない。
ただ、前出の彼女が最も感動したのは「籠に飼われた小鳥でいいの」という歌詞で、女性の幸せの本質の一端を表現しているのではないかと思われる個所だった。ジェンダーフリーを叫ぶ女性などからすれば、とんでもない歌詞かもしれない。しかし、東洋の女性には東洋独特の幸福観があるのも事実だ。