中国・香港在住
下根 森
公共の場での大声の対話
香港は小さい行政区域なので交通の便が良く、安いし短時間で目的地に着ける。私もバス、地下鉄をビジネスでよく利用する。
公共の場、特にバスや地下鉄の電車の中、道端でも他人に構うことなく必要以上に大声で話している人を多く見かける。イヤホンマイクをして顔の表情を変え、手振りを交えて電話で話している様子は、遠くから見るとおかしく、携帯電話に怒鳴り散らしている光景はこっけいさを感じる。隣にいる人は大変だろう。
私はヨーロッパ、米国にも滞在したことがあるが、市民は公共の場では最低限のマナーを守り、静かであったことを記憶している。だから最初のころは下品さを感じていた。
香港生活も何年か過ぎ、ビジネスを終え、路面電車で店に帰る途中だった。家内(香港人)から電話があり、話に夢中になっていた。その日は胃の調子が悪く口臭がひどかった。前に座っていた老人が鼻をつまんで迷惑そうにしていたのを今でも覚えている。本当に申し訳なかった。
私も公共の場で他人の気持ちを気にしない、必要以上の声の大きさにも慣れっこになり、今では雑音と感じなくなってしまったようだ。将来、香港を去る時には、その騒がしさが懐かしくなるのではないだろうか。しかし、公共の場では他人の存在を無視せず、人間関係をよりよくするマナーを身につけていきたいと思っている。