韓国・ソウル在住
竹井弘樹
“F9症候群”の大学生
韓国の大部分の大学生は、F9症候群だといわれる。F9とは、パソコンのファンクションキーのことだ。このキーは、こちらのワードプログラムの[ハングル−漢字]変換機能の役割をし、F9を使ってしか漢字を入力できない人たちのことをF9症候群という。
昨年、ソウル大が新入生を対象に行った大学教育国語試験で、「民族」「国家」「韓国」など、基礎漢字も思いどおりに読めない学生が大部分で、甚だしくは自分の両親の名前すら漢字で書けない学生が23%にもなったと報じられていた。
このように漢字の読み書きができない最大の原因は学校教育にある。朴正煕元大統領政権の七〇年当時、小学校における漢字教育を禁止したことが現在まで続いており、特別活動時間などで教えているだけで正規教育課程には含まれていないためだ。また、中学校で九百字、高校で九百字だけ教えているのが現状だ。最近では、新聞などからもめっきり漢字が姿を消している。
こうした傾向を危ぶむ声も上がっているが、その声の力は小さい。グローバル時代といって英語ばかり過熱ぎみの韓国だが、私自身、漢字教育は英語を学ぶくらいに大切なことだと思っている。アジア圏では漢字が威力を発揮するからだ。実際、私が韓国にきて間もない、韓国語がほとんどできなかったころに、妻の父と筆談ができたことは、それを裏付けているだろう。