韓国・ソウル在住
原田 一
犬の社会に明暗が発生
かつて韓国に来たとき、犬が放し飼いになり、猫がヒモにつながれていたのに驚いた。町では子供たちが犬をけとばしたり、石を投げたりしていじめていた。犬たちはいつもおびえ、人の顔を見ればすぐに逃げていた。
わが家の隣にも、大きい犬がいたのだが、さすがにこれはしっかりと鎖につながれていた。しかし、ある日、忽然と姿を消した。なんと、家族で食べてしまったというのである。韓国では、「ケーセッキ(犬の子)」という侮辱する言葉があるが、それほどまで犬の立場は極めて低い。
ところが、ここ数年、ペット犬が爆発的な人気を呼んでいる。ほとんどは小型犬であるが、かつて町でいじめられていた犬たちとは、全く身分が違う。立派な犬小屋から、高いエサ、きれいな服、病院、ホテル、美容院、カフェまであり、人間以上のもてなしを受けている。
ところで、愛犬市場の80%を占める五十軒あまりの販売店の立ち並ぶソウル退渓路(テゲロ)四、五街では最近、愛犬ショッピングモールを建設する計画が立ち上がり、悪臭など環境汚染の問題で付近住民との摩擦が生じている。
一方、今年五月の一カ月だけで、ソウル市内の捨て犬の救助が七百匹以上もあったという。面倒くさい、情がいかないなどの理由で捨てられるようである。形を変えて、やはり犬たちはいじめられているのではないだろうか。