タイ・バンコク在住
内藤 毅
楽ではないメード稼業
「家政婦を雇っている家庭」と聞くと、日本ではかなりの富裕層というイメージがある。しかし、東南アジア各国では少々生活に余裕が出てくると、「お手伝いさん」を雇う中産階級の家庭は少なくない。
シンガポールやマレーシアではインドネシア人、タイではミャンマー人、香港ではフィリピン人のメードがもてはやされる。これらの国々から来た人をメードとして雇えば、自国人を雇うよりも半分から三分の二ほどの給与ですむ。
ほかの国の労働条件は分からないが、タイの場合、これらの外国人がメードなどの職業に就くことは禁じられている。しかし、あまりの多さに政府が一時的な労働許可を認めている。これらの人々はタイ人が嫌がるような危険な肉体労働や長時間の工場勤務にも進んで就きたがる(というか、それしかする仕事がない)ので、これらの業種に相当数が入り込んでいるとみられている。
現在は政府や人権団体の目が厳しいため、かなり改善されてきたが、二、三年前までは外国人労働者に対する労働環境や賃金制度は劣悪そのものだった。
しかし、それでも、雇い主の差別待遇や理不尽な要求に耐えなければならない。
私の知り合いにも、半年間にわたって、給与を与えられなかったというミャンマー人メードがいる。東南アジアでのメード稼業はまったく楽ではない。