韓国・京畿道九里市在住
志田康彦
暑さしのぎに「参鶏湯」
韓国も梅雨が始まり、蒸し暑い日が続いている。こんな時期は土用のうなぎのように、夏のスタミナ食を食べ、暑さをしのぎたいもの。韓国の夏料理として有名なのが参鶏湯(サムゲタン)である。
参鶏湯は地鶏、もち米、にんにく、高麗人参、なつめなどを土鍋でじっくりと煮た鶏料理で、私の大好物でもある。ボリュームたっぷりでしこしこした肉質が逸品である。虚弱体質の方にもよく、ぜひ一度はお勧めしたい。
参鶏湯の始まりは、はっきりとした資料はないが、鶏肉を食べはじめた三国時代までさかのぼる。当時から、夏の暑さを乗り切るために、参鶏湯、スイカ、補身湯(犬肉)が食されていたという。韓国漢方の先駆者で名医の許浚(ホジュン)先生が著した「東医宝鑑」にも、補身湯などは、内臓などの体の中を温める食べ物として記されている。暑い夏に熱い食べ物を食べるのは、暑さから体を守るために冷たくなる体の中を逆に温める、先人の知恵からきているのである。
逆に、参鶏湯、補身湯などの体を温める食べ物は、もともと体に熱を持った体質の人が夏に食べるのにはあまりむかない。最近はファストフードなど、韓国の食卓も急速に欧米化しつつあり、キムチなども食べない子供たちが増えてきていると聞く。先人の知恵で始まったこのような食文化が、いつまでも残ることを願ってやまない。