タイ・バンコク在住
内藤 毅
“誤配”で届かない小包
新聞の朝刊や定期購読の週刊誌などが届かないことがしばらく続いた。大家に事情を話すと、近くに番地番号の同じ住所があって、たぶんそこに届けられているのだろうという。
わが家の場合、番地番号以外に、通りの番号を書いて区別できるようにしていた。そのときは大家が配達元に事情を話し、誤配はなくなった。
その後、数日して役人が一枚の紙切れを手に、わが家にやってきた。何事かと聞くと、「この家の住人が総額二百万円の借金をして、払わないままだ。この紙を門の前に一カ月張って、法的な措置が下されるのを待つように」と言うではないか。
全く身に覚えがないことで、大家を呼び、どうなっているのかと聞くと、書類を見た大家は「これは別の住所」と、通り違いの同じ番地番号の住所があることを説明。結局、役人も納得し、この紙を持って帰った。
こうしたことにたまらず、大家に「向こうに住んでいる人はどういう人か」と尋ねると、何かはっきりしない表情で「知らない」の一点張り。思い切ってかの住所を訪ねてみた。荒れたままだが、生活している様子もあり、空き家ではない。結局、薄気味悪くなってそのまま帰ってきた。
最近、実家から「荷物を送った」という連絡があった。それからひと月たっても届かない。「もしかして、あの家に…」と思うのだが、足を向ける気は一向にわいてこない。