タイ・バンコク在住
内藤 毅
荷物に見る華人の習性
初めて海外へ出た際、出発前の空港で強い印象を受けた光景がある。それは、カートいっぱいにダンボール箱を積んで、チェックインカウンターに行列をつくっている中国人一行の姿だった。制限重量を軽く超えている荷物を前に悠然と構えている彼らの存在は、他を圧倒するものがあった。
その後、さまざまな国の国際空港で度々、同じ光景に出会うが、大量の荷物を運んでいるのは決まって、華人系の人々だ。
最近、日本に一時帰国する機会があった。私の住む長屋の大家は、在留中国人三世のおばさんで、日本に留学している娘に荷物を運んでほしいと言ってきた。二つ返事で承諾したのだが、帰国当日持ってきた品物の多さは、「遠慮」なる言葉がかすんでしまうほどの代物。トランクの半分近くが大家からの頼まれ物で占領されてしまった。
それでも一応、無事帰国し、大家の娘さんに荷物を手渡すことができたが、運ぶ側になって少しは彼らの心理が分かった部分がある。「あれもこれも」とどんどん詰めていくうちに、荷物は膨大な量になってしまう。日本人はそこで分別が始まるのだが、「なんとかなるさ」で押し通すのが漢民族。やはり、悠久の歴史を生き抜いてきた民族は生命力のレベルが違うのだ。
このたくましさを今の日本人にもとり入れることはできないだろうか。そんなことを感じた一件だった。