ブラジル・マットグロッソドスル州在住
濱田純一
SARSより怖いもの
連休明けのフライトで南米に戻った。成田空港は休み明けで旅行者が少ないのと、新型肺炎(SARS)の影響が重なって閑散としていた。今回は乗り継ぎのニューヨークとサンパウロでの入国手続きで、手荷物ならびに身体検査などのチェックは受けなかった。サンパウロで、過去二週間の健康状態と、今後二週間の滞在先の簡単な申告書を提出したぐらいだ。それでもサンパウロでの入国時は、普段は込み合う外国人用の入国審査の列は非常に短く、ほぼ満席だったとはいえ、同じ飛行機の旅客たちはほとんどが米国からの帰国者だったようだ。
ブラジルでは、四月のはじめに、他国からの感染者と思われる人物が空港で見つかったくらいで、SARS患者は出ていない。それでもSARSの影響は出ており、町なかの露店で、中国製品を並べている店では売り上げが極端に落ちている。関係ないような気もするが、人々はやはり敏感なのだ。
サンパウロで迎えに来てくれた友人は言う。「SARSよりも怖いのが人間だ」と。実際、サンパウロ市では、週に数十人単位で殺人事件が起きている。まだリオよりもまし、ということだが、見方を変えると、こちらのほうがSARSよりもはるかに恐ろしい。この現状を、世界の人々に伝達して、世界が見守る中で、対策を講じる努力を期待したいものである。