アルゼンチン・ブエノスアイレス在住
江頭利将
正義のために闘う母達
ブエノスアイレスではこの時節、各地で平和集会、デモが行われる。
アルゼンチンの軍事政権が始まったのは一九七六年三月二十四日で、今年で二十七年になる。三月二十四日には各種デモ、追悼集会が行われる。主催団体の中心的存在は、「五月広場の母たち」だ。
軍政時代の出来事で顕著だったのが思想弾圧だった。関係した人、しなかった人を含め三万人ほどが行方不明になった。当時のアルゼンチンの人口が約三千万人だったから、国民の千人に一人が弾圧によりいなくなったことになる。多くが十七−三十五歳の若い人たちだったからその悲しみは大きかった。
そこには日系青年十五人も含まれていて、アルゼンチン日系人の歴史の中でも悲しい出来事の一つとして語り継がれている。
政府の弾圧によって行方不明になった青年たちの母親が、ブエノスアイレスの中心地、大統領府の前にある五月広場に集まってお互いの心情を慰め、息子、娘を捜すため、地道な活動を始めたのが「五月広場の母たち」の起源となっている。
白いネッカチーフをかぶった、今ではおばあさんとなった母親たちによる五月広場ピラミッド周りの行進が有名で、観光ガイドにも説明が記されている。
彼女たちは記憶、正義、そして真実のために今でも闘っている。