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米国・ワシントン在住
立川直樹

静かな米国式のお花見

 日本の春はお花見のシーズンだが、ワシントンでも日本の桜を楽しむことができる。今年も、ワシントン記念塔やポトマック河畔周辺にある三千本以上の桜が見事な花を咲かせた。一九一二年、当時の東京市長尾崎行雄が日米友好の記念として、荒川堤の桜三千二百本を贈った。今では、その桜が満開となる風景は、春のワシントンを象徴するものとなり、毎年桜祭りがにぎやかに行われている。

 桜の木が並ぶ一角には、かつて東京の上野公園にあったという石灯籠がある。桜祭りでは、日本大使館から選ばれた「桜の女王」による、石灯籠への点灯式もあるが、今年は三月末に降った季節はずれの雪のせいで、市内のホテルで象徴的に行われるという異例の点灯式となった。

 楽しむのは同じ日本の桜でも、お花見風景は日米で大きな違いがある。日本では、桜の木の下でにぎやかな宴会がつきものだが、ワシントンではそれがない。家族連れなどが静かに桜の下を散策するだけだ。なにもイラク戦争だからといって、はしゃぐのを控えたわけではない。公園内での飲酒が禁じられているからで、毎年ワシントン市民は概してお行儀よくお花見を楽しんでいる。

 私はドンチャン騒ぎし、時には酔っぱらって他人を迷惑をかけることもある日本式のお花見はあまり好きでない。日本の桜を、米国式に静かに楽しむのもなかなか風流なものだ。


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