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南ア共和国・ヨハネスブルク在住
長野康彦

物売りとの“駆け引き”

 発展途上国でよく目にするのが、道行く車を当てにした路上の物売りだ。ここ南アフリカでもご多分に漏れず、交差点、フリーウエーの出口など、信号で車が停止する所なら、どこでも見られる光景である。

 売っている品物は実にさまざま。季節の果物、野菜類に始まって、缶ジュースや新聞。夏にはサングラスや車内の日よけ。寒くなると毛糸の帽子や手袋。週末やホリデーシーズンにはバラの花束が道路際を彩る。その他、年間を通じて、子供が喜びそうなおもちゃ類など、こちらが感心するくらいバラエティーに富んでいる。

 ヨハネスブルクなどの大都市を離れ、地方の町を旅すると、様相が少し変わる。交差点での物売りが少ないかわりに、物を売る人々がガソリンスタンドや駐車場に入る車をめがけてワーッと集まってくるのだ。

 値段はあってないようなもの。「三十ランド」と向こうが言えば「十ランドにまけろ」と言い返し、「だめだめ。二十五ランドが精いっぱい」と言ってきたら、「十五ランドしか出せないよ」と切り返す。「じゃあせめて二十ランド」とすがってきたら、「十五ランドしかないって言ったろ。ごめんね。じゃあまた」と立ち去るそぶりを見せれば、「仕方ないな。十五ランドでいいよ」とこうなる。別にその売り物が必要なわけではないが、現地の人々を助けるつもりで、たまにはこうした駆け引きに付き合ったりしている。


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