ブラジル・マットグロッソドスル州在住
濱田純一
大湿地帯パンタナール
私の住むマットグロッソドスル州は日本ほどの面積で、西隣にパラグアイ、北西はボリビアと国境を接している。州知事は長年、州の名前をパンタナール州にするように働きかけているが、それはまだ実現していない。この州の大半を占める“パンタナール”とは大湿地帯のことで、地上に残された最後の楽園とも言える、人間の数が他の動物たちよりもはるかに少ない地域である。
ポルト・ムルチーニョ市から、パラグアイ川をボートで北上すること約四時間、岸辺のホテルについたのは夕暮れだった。そこまでの間、都市と言っても、パラグアイの、とある州の州都が河岸にポツンとあるだけだ。
糸を川に垂らせば、無数のピラニアが食いついてくる。この川の水を現地の住民たちはそのまま飲むようで、到着したホテルでも、売店のミネラルウオーター以外は、ちょっと色のついた川の水が出されていた。
三月、夏の後半とはいっても、日差しは強い。半日で、皮膚は真っ赤になってしまう。そんななかで、こんなにも雄大な自然がまだこの星に残っているのを目の当たりにして、ホッとしたりしてみる。創造主の雄大な芸術作品に圧倒されるような不思議な気持ちにさえなる。
地球の反対側で始まってしまった戦争でさえ、この土地には無関係だ。いや、いつまでも無関係であってほしいと祈らざるをえない。
(濱田淳一・マットグロッソドスル州在住)