韓国・ソウル在住
京谷訓浩
商魂たくましい“庶民”
十年前に韓国にきて驚いたことの一つに、街のいたるところで商売をしていることでした。無店舗販売です。
例えば長距離バスが休憩所にとまると、必ず商品をダンボール箱に入れた人が大声を張りあげ、「今持ってきた商品はとてもいいものだが、会社が倒産したため安く売っている」などと宣伝します。実際、市中価格の20%ぐらいの値段で売っていました。ただ、こんなわけの分からないものを誰が買うのかと思っていると、案外売れていることにびっくりしたものです。
地下鉄でも通勤ラッシュ以外は、売り子や募金活動、さらには目の不自由な人が音楽を鳴らし籠を手にもちながら端から端まで歩き回っていました。また道路でも、道端に余裕があれば、そこが衣類の展示会場になったり、渋滞する道路では必ずアイスクリームやコーヒー、お菓子などを販売する人が、道の真ん中で販売していました。
そして、十年後の現在、韓国もずいぶん豊かになり、こういう商売はなくなっただろうと思いきや、今でも健在です。ソウルでは、昨年からコーヒーショップがブレークしており、それにあやかって軽トラックに業務用のコーヒーメーカーを積んで、人の往来の激しいところに陣取り、そこで商売をしています。見ていると、結構繁盛しているようです。
商魂たくましい、韓国庶民の一面を垣間見た気がしました。