イスラエル・テルアビブ在住
野中 直
期待感を抱かせる首相
先日、イスラエルでは総選挙があった。与党リクード党が圧勝し、四十近くも議席を伸ばした。
現在の首相であるシャロンは極右的政治家として知られてきた。国防長官や軍の司令官もしたが、そのころは過激な戦略で名をとどろかせていた。それでシャロンがリクードの党首になり、はたまた首相になった時には、パレスチナ側は失望したものだ。第二勢力の労働党の支持者たちも眉をひそめていた。
ところが首相になった彼は米国の圧力に歩調を合わせつつ、アラファトと交渉したり、攻撃したり、極右には決してならないが、イスラエルの立場を危うくすることなく、きちんとかじ取りをしている。この意外性が国民全体に受けているのかもしれない。
選挙の翌日の会見では、こんなことを言った。「右翼も左翼も自分たちの党利を捨てて、国のために力を合わせよう」。私は耳を疑った。
与党が圧勝し、誰もが超右翼政権になると思いきや、シャロンは左翼や反宗教政党を含めた政権をつくろうとしている。そして、もし労働党が連立に参加しない場合は、解散総選挙をした方がましだと言った。
イスラエルで何かが変わってきたと信じたい。少なくとも国が危うい時に、党利も何もなかろう。それに気づいた首相には、リップサービスを差し引いたとしても、期待感を抱かせるものがある。