ドイツ・ノイス在住
若山計雄
今なお残るマルク紙幣
通貨がドイツ・マルクからユーロに切り替わって、一年余りが過ぎた。最初の二カ月間だけは、マルクでも買い物ができ、どこの銀行でも両替が可能だったが、その後マルクは使えなくなり、各州の中央銀行まで行かなければ、ユーロへの両替はできない。長く親しまれたマルクの姿は、あっという間に消えてしまったかのように思われた。
わが家では、期間内にすべてのマルクをユーロに両替したつもりでいたが、その後思わぬところから、少しずつマルク紙幣が見つかり、かなりの金額となった。
昨年暮れ、ドイツに百八十五店舗を持つあるデパートが、マルクでも支払い可能というキャンペーンを行った。各店舗でマルクでの支払いが5−15%あり、ある店舗では三割を占めたというから、大成功である。うまく考えたものだ。
わが家のように、まだマルクを手元に持っている人は相当いたことになる。ドイツ(連邦)銀行の試算によれば、今なお約八十八億マルク(約五千億円)の現金が各家庭に眠っているという。また別のマルクキャンペーンを行うところが現れるのではないだろうか。
ただよく考えてみると、わざわざ今マルクで衝動買いして、無駄使いする必要はない。中央銀行まで行く煩わしさはあるが、いつでも両替は可能で、それも無期限なのだから。という訳で、わが家のマルク紙幣はまだ手元に残っている。