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イスラエル・テルアビブ在住
野中 直

準備が進むイラク対策

 冬の澄み渡った空に幾筋かの飛行機雲が鮮やかに伸びていく。雲ひとつない空に珍しいことがあるものだなと思った。ところがそのうちの一つは長い雲の終結点あたりで糸巻きのように乱雑になっていった。はて?と思ったが後でわかった。その飛行機雲はイラクからの攻撃に対する迎撃ミサイル「アロー」の迎撃実験だった。いよいよイラク攻撃に対するイスラエル側の演習が始まった。

 アパートでも少し前にシェルターの再チェックが行われた。イスラエルではどんな家でも必ず一つはシェルター用の部屋を設けるように法律で決まっている。これは湾岸戦争以来の建築基準だ。

 大使館でも有事に備えて説明会があり、地域の班長たちが呼ばれていった。攻撃があった時に、いかに国外に安全に逃げるかという内容だった。しかし班長たちは現地のイスラエル人と結婚した人たちが多く、いかに安全にイスラエルに残るかの質問が多かったという。

 ガスマスクの配給もそのうち行われるが、外国人は一人当たり六千円程度で購入しなければいけない。もし使わなければ三千円で回収するという。ちゃっかりしている。

 こういったこととは裏腹に、テルアビブではいつものようにビジネスが行われ、非常時という雰囲気はそんなには伝わらない。それでも着実に防空準備は進められている。


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