韓国・ソウル在住
竹井弘樹
自転車付きの新聞拡張
ある日の朝、新品の自転車が団地の前にずらっと並べられ、自転車の安売り販売でもしているのかと思って、その場を横目に出勤した。帰宅時間の午後八時を回っても、まだ数台の自転車をおいてやっていた。ちょっと気になってのぞいてみると、新聞を新規購読すれば自転車がついてくるという、新聞の販売促進(販促)キャンペーンだった。
この日は、韓国でトップクラスのC新聞社が、拡張を行っていた。一年六カ月間の契約で、十八段変速付きの自転車が一台進呈されるというもの。その場にいたおじさんは、本社からの援助で、こうした特別キャンペーンをしているとは言ったものの、新聞代が一カ月一万二千ウォンで、十八カ月で二十一万六千ウォン、自転車の原価を考えると、新聞代は月に六千ウォンぐらいの勘定になる。これでは新聞を売っているのか、自転車を売っているかわからない。
韓国の新聞拡張は熾烈な競争が行われており、とにかく顧客を確保すればいいというやり方だ。また新聞発行部数も正確な数字は発表されていない。新聞の販促に使われるプレゼントは風呂場用時計、置き薬、ミキサーなど次第に高級化する傾向にあり、無料購読期間も一〜三カ月というのもよくある話だ。
販促物を使った新聞拡張は、何度か取り締まりが行われているが、いたちごっこで効果がない様子で、これからもしばらく続きそうだ。