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タイ・バンコク在住
内藤 毅

堕ちてしまった聖職者

 「タイで尊敬される職種は?」と聞くと、タイ人のほとんどは、僧りょ・医師・教師と答える。いずれの職業も知識・技術だけではなく人徳が必要だから、というのが主な理由だ。人を扱う仕事だから、当然と言えば当然なのだが、このところ「人徳」を失い、不祥事を起こす僧りょや医者、教師が増えている。

 その筆頭は僧りょ。タイ仏教は小乗仏教で、戒律が厳しい。特に異性問題は厳禁で、僧の方から女性に話しかけてもいけない。しかし、ここ数年、女性と性関係を持ったとか、献金を不当にだましとったとか、宗教者としてあるまじき行為を働く僧が増えている。揚げ句の果てに、自動小銃などで武装した僧が議員会館に立てこもるなど、あきれた事件も起きている。

 また、医師にしても、お金につられて不法な臓器移植など犯罪行為に手を染めたり、社会的に低い地位の患者には十分な医療を施さなかったりして社会問題となった。一方、教職者も、行き過ぎた体罰行為のほか、最近では、教室で覚せい剤をやったり、わいせつ行為を生徒に強いるなど、はみだし教師が世を騒がせている。

 「聖職者も人の子」といってしまえば元も子もないが、ここまで「堕ちて」しまえば、「良心」が死んでいるのと同じ。全体の割合からいえば、ごくわずかなのだが、このところ、タイ国民の聖職者に対する尊敬が薄れつつあることは否めない。


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