アルゼンチン・ブエノスアイレス在住
江頭利将
紫色に染まるブエノス
ブエノスアイレス市の北部に広がるパレルモ公園は今、紫の淡い花でいっぱいだ。アルゼンチンの桜ともいえるハカランダの木だ。短い冬を終え、春が来たことを告げるこの紫の花はブエノスアイレスの風物詩になっており、一カ月ほど街中が紫で覆われてしまう。
ハカランダの開花時期は、一般的に十月下旬〜十一月で、花には薄紫色と白色の二色のバリエーションがある。また、この時期以外にもブエノスアイレスで紫の花を見かけることがある。それはこの花が本来の開花時期以降に二番花、三番花を咲かせることがあるためだ。だから春だけに咲くというわけではない。咲き誇ったハカランダも大変きれいだが、桜と同じように、散った花が地面を紫のじゅうたんにしてくれる様子が大変感動的で、その上を車で通るのが申し訳なく感じてしまうこともある。
また、ハカランダと同様にブエノスアイレスっ子から愛されている木がある。木の幹の部分が膨らんでいるため、「飲んべえの木」と呼ばれているラパーチョだ。この木は、きれいなピンクの花をつけ、散った後は白い綿のような種をまき散らす。一年に数日、街中にその白い綿が雪のように舞う日があり、これもブエノスアイレスならではの光景だと思う。でも、その後黒く汚れた綿が街のあちこちに見られるのは、ちょっと興ざめではある。