ドイツ・ベルリン在住
富田武史
裸にみる価値観の違い
今年のドイツの夏は「異常気象」だった。
六月下旬としては珍しく三〇度を超える日があった。そうかと思えば、一年で最も暑い七月になって悪天候の日が続き、ほとんど青空を拝むことがなかった。しかし、八月に入ると、快晴の日の連続となり、好天気は九月十日ごろまで続いた。ベルリンの屋外プールや湖は毎日、多くの人でにぎわった。
私が住むアパートの近くの湖に初めて行った時の話。入場料を払って湖に入ったのだが、向こう岸を見てびっくりした。裸の人々であふれていたからだ。有料区域は閑散としていたのに比べ、反対側の無料区域は裸の老若男女で埋め尽くされていた。
ドイツには「全裸文化」というものがあると聞いていたが、実際に見てみると圧倒される。図体の大きい人々が泳いだり、日干ししている姿は遠くから見るとトドのようだ。
「みんなですれば恥ずかしくない」ということなのであろうが、裸に関する感覚がマヒしているとも言える。
今回の選挙戦で、少数与党「90年連合・緑の党」が裸の女性をモチーフにした選挙ポスターを作り、物議をかもした。ある保守系市長は「教育に良くない」と抗議してポスターの撤回を求めたが、党側は「ポスターの絵は芸術作品」だと反論したところ、市長はあっさり引き下がったという。青少年への悪影響も少しは考慮してほしい。