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イスラエル・テルアビブ在住
野中 直

自己主張の激しい民族

 イスラエルの新年はユダヤ暦で九月に始まる。学校も新年度になったので父兄会があり、私はヘブライ語がわからないが、一年の最初のあいさつだと思って参加した。

 先生が今年の方針について書いたプリントを渡し、それについて説明を始めた。ほどなく何人かの母親が質問を先生に浴びせる。先生はそれについて一応答えるのだが、ある母親がなぜか先生を差し置いて猛烈に説明し始める。すると、質問していた母親はさらに応酬する。今度はその二人を遮るように全く関係ない母親が参加して、説き伏せようとする。

 こうして段々と人数が増え、母親たちのグループはきれいに二つに分かれてものすごい討論となった。先生はその中でただ黙って困った顔をしているだけである。

 私は隣にいたある父親に、何の話でこんなに白熱しているのか聞くと、教室におくロッカーに対して一年間のレンタル料を払うかどうかだそうだ。会議はさまざまな話題で延々とエキサイトし続けた。

 長い会議の後、何が決まったのか先生に聞くと、「何もありません。母親たちが勝手に話し、私はただその仲を取り持とうとしただけです」と言った。

 ユダヤ人は自己主張の激しい民族である。母親がユダヤ人であれば、母親がその子供をユダヤ人として認定するという理由が、その日わかった気がした。


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