ドイツ・ノイス在住
若山計雄
しのび寄る洪水の脅威
地震もめったになく、日本のように毎年台風が上陸することもないドイツは、本来自然災害の少ない国である。しかし今年は、集中豪雨による歴史的な大洪水が発生した。ドナウ川やエルベ川がはんらんし、洪水被害はドイツだけでなく、東欧の広い範囲に及んだ。
ライン川も大雨や上流の雪解け水が原因で,たまにはんらんすることがある。川幅が広く、流れが緩やかなため、鉄砲水やがけ崩れなどが発生する危険性は少ない。たとえ上流が増水しても、下流域の場合は水位上昇の予測が可能で避難することができる。
私の家はライン川から約一キロしか離れておらず、目と鼻の先には支流も流れている。ここに住んで六年になるが、二度ばかりライン川支流の水があふれたことがある。まず流れが止まり、少しずつ水位が上がっていく。気が付くと道や畑や公園一面が湖と化していた。
数日前の上流での増水が原因なので、ここでは雨が降っているわけでもないのに水かさが増してくるという、不思議な体験をした。いつもは狭い川に住む水鳥たちが、人間の心配をよそに、広々とした水面を悠々と泳いでいた。
ちょうど堤防の役目を果たしてくれる小高い丘のお陰で、住宅地まで浸水したことは今まで一度もない。しかし、今年の洪水は百数十年ぶりだったというから、ここがいつまでも安全だという保証はどこにもない。