モンゴル・ウランバートル在住
加藤誠也
雄大な草原の国の相撲
モンゴルでは相撲、競馬、弓射を「男の三種競技」と呼び、毎年夏に行われる国家行事「ナーダム(祭典)」では、国中の男たちがこの三種競技でモンゴル一を競う。
この中で最も人気があるのが相撲だ。「ナーダム」では五百十二人の力士が参加し、合計九回戦のトーナメントが行われる。優勝力士は国家的英雄となり、幸運の象徴とされる。その力士の肩に触れれば、幸運がやってくるといわれている。
ルールは日本の相撲と多少違う。土俵の制限はなく、広い草原すべてが土俵だ。だから「寄り切り」や「押し出し」の技はない。また、手のひらは地面についてもよく、手のひら、足の裏以外の部位が地面につけば負けとなる。時間制限はない。
日本の大相撲で活躍している旭鷲山らモンゴル人力士は、多彩な技を繰り出すことで知られているが、モンゴル相撲には約四百種類の技があるという。
小さな土俵上で十数秒のうちに勝負が決まる日本の相撲と違い、モンゴル相撲は、あまり動きのない組合が何十分も続いた後、一瞬のすきに機敏に技をしかけ、勝負が決まる。何時間も続く一番でも見どころはほんの一瞬だ。観衆はその一瞬の刺激を楽しむ。
雄大な草原の国らしく、時間にも空間にも制限されないモンゴルの相撲は、ゆったりと延々と対戦が繰り広げられる。