世界の街角
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韓国・京畿道九里市在住
志田康彦

誰でも楽しめるナンタ

 先日、韓国に遊びに来た知人から「どこか見物するのにいいところはないか」と聞かれたので、ぜひ「ナンタ」を見に行くようにと勧めた。

 「ナンタ」とは包丁やなべなどの厨房器具を打楽器の代わりに使用した無言語ミュージカルで、韓国では新しい芸能のひとつとして定着しつつある。ナンタは漢字で「乱打」と書き、字のごとく公演中は、やたらめったら包丁やなべをたたいている。日本をはじめ、世界各地で公演を行い、最近では「ナンタ」専用の劇場もオープン、毎日公演を行っている。

 韓国の打楽器芸能といえば、「サムルノリ」をあげることができるが、「ナンタ」はサムルノリのリズムを現代パフォーマンスに昇華させ、まったく新しいビートを生み出している。無言語なので、老若男女から外国人まで誰でも楽しめるのが、ナンタのいいところだ。ストーリーは、ホテルの厨房が舞台で、急に決まった結婚式の料理を慌てて作るコックたちのドタバタを面白おかしく演出しているもので、内容はわかりやすい。

 私は、ナンタが初めて登場した九七年に公演を見たのだが、大変感動したのを覚えている。この作品をプロデュースした俳優の宋承垣氏が「韓国が誇る世界の作品に育てたい」と言っていた言葉が記憶に残る。このナンタ劇場が韓国観光の目玉商品になる日もそんな遠くないかもしれない。


アルゼンチン・ブエノスアイレス在住
江頭利将

生活必需品高騰が心配

 経済危機にあえぐアルゼンチンで、国民の一番の関心は生活必需品の価格がどれほど上がるかというものだ。今年四月に入り、ペソの価値が去年の三分の一にまで落ち込み、さまざまな分野の製品が影響を受けているためだ。

 本来ならば国産品の場合、それほど大きな打撃は受けないはずなのだが、便乗値上げも行われており、国民の生活を脅かす元となっている。輸入品に頼っている品種の場合は、値上がり率が最高180%にまで達し、平価切り下げ前の価格の約三倍という状況にある。

 そんな中、公共料金の値上げがまだ行われていない。バス、地下鉄などの交通機関、水道や電気などの料金も据え置かれているが、もともと約十年ほど前に外国の企業の手により民営化されたものばかりで、これらの会社の収益を考えた場合、ペソの変動は大変な衝撃とも言える。今は、政府とそれらの企業との交渉が続いている。

 しかし、もしこの均衡が崩れた場合、国民は黙っていないだろう。以前から公共料金の高さが問題になっているアルゼンチンで、再びインフレが起これば、さらなる政変の可能性も考えられる。「世界一豊かな自然の恵みに満ちた国が、世界一不誠実な政治家に牛耳られている」という、民衆の叫び声が今日もあちこちで聞こえている。はやく立ち直ってほしいものだ。


エジプト・カイロ在住
鈴木眞吉

日本のTV小説が人気

 エジプトでは今、三年程前に日本で放映されたNHK朝の連続テレビ小説「すずらん」が人気を集めている。数年前には、「おしん」が上映され、爆発的な人気を得た。今回は「おしん」ほどではないが、日本人の生活や知恵、生き方,家族の絆などに、多くの刺激を受けているという。

 番組のなかで交わされる会話の一つひとつが、心に響く。彼らは、「日本にはイスラム教の教えはないのに、その教えが実践されている。エジプトにはイスラム教があるのに、実践されていない」と言って、自分たちの実態を恥じることがある。

 家賃の問題で、喧々囂々(けんけんごうごう)の交渉をした大家も、私に会うと両手を合わせて深く礼をする。おしんの動作をまねているのだ。エジプト人は、西洋文化の欧米にどこか違和感を持っているが、日本人には同じ東洋人として親近感を持つ。

 「すずらん」は夜の九時前後にほぼ毎日放映されている。しかし新聞に掲載されているテレビの時間表通りではない。三十分、一時間近くも遅れて始まるかと思えば、十五分、二十分も早く始まる日もあり、時間が一定していない。

 一応毎日ということになっているが、ない日もあって面食らう。人々はそれが当然という風情で、誰もテレビ局に文句を言わない。時間に追われない生活がここにはある。


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