世界の街角
navix
email

モンゴル・ウランバートル市在住
加藤誠也

1年に1度の“大吉日”

 モンゴルでは年に一度、日本の大吉日のような縁起のいい日がある。「バルジンニャム・ダシニャムの日」といい、チベット語であることから、起源はチベット仏教と思われる。

 この日は新しい出発に縁起がいいということで、結婚式をこの日に行うことが多い。またモンゴルには、男の子の髪の毛を二歳ぐらいになるまで切らない習慣があり、その断髪式もこの日に行われる。

 幼児、特に男児の死亡率が高かったことから、悪霊が男児を狙って死に至らしめると考えられてきた。そのため、男の子は女の子のように髪を長くのばしている。女の子に見せかけ、悪霊の標的になることから守るためだといわれている。だから、男の子でも髪が長いので、女の子と間違うことがよくある。しかし、悪霊から狙われないような年齢になれば、男と分かっても大丈夫ということで、髪の毛を切る儀式が行われるわけだ。「赤ちゃん卒業」だ。

 今年は十月四日が「バルジンニャム・ダシニャムの日」で、多くの家庭で結婚式や断髪式が行われた。モンゴル唯一の結婚式場、ウランバートル市の「結婚宮殿」では、朝三時から夜十一時まで百四組の新婚カップルの結婚式が行われた。

 市内では新婚カップルを乗せ、風船を飾り付けた車がひっきりなしに往来。多くの人々の新しい出発を祝い、町はにぎやかな雰囲気に包まれていた。


韓国・京畿道九里市在住
志田康彦

米国テロ、観光を直撃

 先日、用事があって韓国観光公社に電話したら、米国テロの影響で日本人だけでも三万人が韓国旅行を中止したと嘆いていた。この数は教科書問題の時に比べ十倍だそうで、影響力のすごさが分かる。担当者の話では、テロ問題はすぐに解決するとは思えないが、イベントやキャンペーンの実施で、事態の打開を考えているという。

 観光を国家の主力経済の一つとして考えていた韓国としては、今まで「韓国訪問の年」の実施、大統領自ら出演した観光CMの放送、済州島の自由都市推進、二〇〇二年サッカーワールドカップのPRなど、さまざまな努力を行ってきた。昨年からその努力のかいあって、日本で韓国ブームが起き、大きく実ろうとしていたときだけに、米国テロは一瞬にしてその努力を無駄にするほど影響を与えている。

 これは数字として表れているだけだが、実際、ホテルや旅行会社などでは、客がいないと嘆いているし、観光に付随した産業まで考えると、その影響は計り知れない。また、これが長引けば、会社を維持するためにリストラの問題も出てくると思う。これで会社をクビになったら泣くにも泣けないだろう。

 米国テロは米国やイスラム社会の問題だけでなく、このように見えない形で世界中に影響を与えている。全世界が知恵をあわせて、早急に解決するよう働きかけなければならない。


ドイツ・ベルリン在住
富田武史

イタリアへのバス旅行

 ベルリン発でイタリアへバス旅行する機会があった。豪華な二階建てバスには約六十人の乗客。平均年齢は六十歳程度で、大半が夫婦で参加していた。

 ここまでは、日本と大差はない。「しかし、ちょっと待てよ。いかつい顔の運転手はいるが、ガイドのお姉さんがいないではないか」と思っていると、なんと運転手がガイドを兼任していたのだった。また、コーヒーやソーセージを販売する世話役は、七十歳代のおじいさんが務めていた。

 イタリアまでは、一日半かけての旅となった。途中、何度も休憩したが、人数確認もなしにスーッとバスは発車。その後から、「皆いるね」と世話役の老人がつぶやいたのには驚いた。

 旅の途中、おなかがすくのは当然のこと。どうせならば、当地の名産などを食べたいのが本音。筆者は、イタリアの休憩所ではピザなどを食べたが、旅客のほとんどは、車内販売のソーセージを食べていた。

 宿泊先のホテルは、イタリア屈指のワインの名所。そこでも、多くの旅客はビールを口にしていた。

 初めは、これらの行動を理解するのに苦しんだが、やはり習慣というものは簡単には変えられないもの。ハワイに行ってうどんを食べる日本人が多いのと同じことだろう。

 「ドイツ人といえば、ビールとソーセージ」。これは先入観でも偏見でもなく、事実であることを確認できた旅だった。


HOMEBACK