世界の街角
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モンゴル・ウランバートル市在住
加藤誠也

“イナゴの大群”が来襲

 七月中旬の夜のこと。わが家にイナゴが入り込んできた。捕まえようとしたが、グロテスクで、触るには気味が悪く「一匹ぐらい、いいだろう」と思い、ほっておいた。

 翌日起きてみると、一匹どころか四、五匹が家の中に迷い込んでいた。ウランバートル市に来て二年になるが、今までイナゴが家の中に侵入してきたことはなかった。どうしたことだろうと思い、外に出て緑地に足を踏み入れたら、何十匹ものイナゴが一斉に飛び上がってきた。

 どうもイナゴが異常発生しているようだ。新聞報道によれば、ロシアの南部からイナゴの大群が移動してきたという。専門家は「太陽の光に引き付けられ、風に追われながら南下してきた」と説明していた。

 草原ならば緑がいっぱいだが、緑の少ないウランバートル市の中心部では、小さな緑地に何十匹もひしめきあっている。都市でえさにありつくのは大変だ。車にひかれてペチャンコになったイナゴもたくさん見かけた。

 イナゴたちは何を求めて都会に来たのか、大変な被害に遭ったものだ。移動してきたイナゴのうち六〇%から七〇%は死んでしまったという。

 当初は草原がイナゴに食い尽くされ、家畜への被害が出るのでは,と心配されたが、イナゴの大量死でそれは免れそうだ。イナゴは哀れだったが,遊牧民はホッと胸をなでおろす結果となった。


韓国・ソウル市在住
原田 一

若者には「近い国」日本

 先日、ドラマを見ていたら、どこかで聞いたような曲が韓国語の歌詞で流れていた。よく聞くと、数年前に日本でヒットしていた曲だった。

 すでに日本映画は解禁となっているが、音楽はまだ完全ではない。しかし、このような形で少しずつ入ってきている。

 同じタイトルでリメークされた曲も次々とヒットチャートに上り、違和感なく日本の曲を楽しんでいる。それも、比較的新しい曲が聴けるのだ。

 また、韓国の歌手たちも日本に上陸して人気を得ているようだ。中には、韓国人と日本人がグループを組んで韓国で登場し、そのうちの日本人だけが帰国して、再デビューしたりもしている。

 ただ、いまだに純粋な日本人歌手は韓国であまり見ることはできない。欧米のミュージシャンがしばしば来ているのに比べると、少々残念でもある。

 世間では日本の歴史教科書が問題になっているが、十代後半から二十代の若者にとっては、それもどこ吹く風といった感じである。

 さらに子供たちの間では、テレビで放映されているポケモンが大人気だ。キャラクター商品も街にあふれている。

 旧世代間では日韓の間でわだかまりが消えていないが、新世代の間ではすでにその壁はなくなっているようにも見える。

 日本と韓国は「近くて遠い国」と言われて久しいが、その実感も急速に薄れていっているようだ。


エジプト・カイロ在住
鈴木眞吉

解けぬ反イスラエル感情

 先日、アラビア語と日本語の交換授業に出席した。会話はいつのまにかエジプトへの希望というような話になった。私が「もし中東問題が解決し、エジプトが今まで費してきた対イスラエルのエネルギーを経済に向けたら、きっと経済的繁栄が築かれるだろう」と述べたら、女性が猛烈に反発し、「イスラエルとの間に平和は絶対ありえない」と切り返した。

 病気がちで、常日ごろは蚊の鳴くような声の女性が目をらんらんと輝かせ、毅然とした態度で言うものだから余計迫力があった。平和や交渉は双方が歩み寄ってなされるのに、イスラエルはいつもぶち壊してきたと語った。ある報道関係者は、「エジプト人で親イスラエル派は一人もいない」と断言した。

 七月末日、駐エジプト・イスラエル大使が外国人記者クラブで講演した。いかにエジプトのマスコミが、事実でなく宣伝だけを書いているかということを、記事を実例に挙げて批判していた。それにしてもかくも骨の髄まで染み込んだ感情はいつになったら解けるのだろう。イスラエルとの対立はアラブ人全員の心の中に憎しみを染み込ませている。

 サダト大統領時代に結んだ平和条約は、戦争をしたくないのと、失った領土が返ってくるから結んだのであって、決してイスラエルを許したり好きになったからではないと釘を刺された。


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