世界の街角
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韓国・ソウル市在住
京谷訓浩

水へのこだわりに感服

 韓国では、早朝に山に登って、大きなポリタンクに湧き水をくんでくる人を見かけます。先進国並みの普及率の上水道に問題があるのではありません。千百万人もの人が住んでいる大都市ソウルでさえも、よく見かける光景です。

 登山道のある山に行くと、必ずと言っていいほど、その中腹に湧き水をくむことができる施設があります。管理のいい所では、湧き水の成分表まで掲示しています。ポリタンクを担いでここまで来て湧き水をくんで帰るのです。本当にご苦労なことだなあと思いつつも、水へのこだわりに感服していました。

 彼らに聞くと、この湧き水を「薬水」とか「神水」と呼び、水道水にはない、山の気が水にはあって、体にとてもいいと説明してくれます。

 かく言う私も、赴任先の近くにおいしい水、いわゆる「神水」をくめるところがあって、一週間に一度、この「神水」をくんで、家に持って帰っています。好奇心から、この水のペーハー値を測ってみたのですが、なんとph8の値が出ました。天然のアルカリイオン水だったんですね。ありがたく、飲み水に、料理にと使わせていただいております。

 韓国の水は、日本の水が軟質なのに比べて、鉄分の多い硬質です。慣れない人がいきなり飲むとおなかを壊してしまうので、注意する必要がありますが、一度、この「薬水(神水)」をお試しあれ。


米国・ワシントン在住
立川道直

犠牲の尊さ伝わる墓地

 ワシントン近郊に多くの観光名所があるが、そのほとんどはベトナム戦争戦没者慰霊碑、硫黄島記念碑、韓国動乱従軍者記念碑など、戦争にまつわるメモリアルだ。

 その中で、私が最も好きなのは、アーリントン国立墓地だ。約二百五十平方メートルの広大な敷地に約二十四万五千の墓石が並ぶ。手入れの行き届いた芝の緑は初夏のこの季節、その輝きを増して美しい。この墓地の西南に位置する小高い丘。眼下にワシントン市街が広がる中央に重さ五十トン、大理石の白い巨大な墓碑がある。

 第一次世界大戦からベトナム戦争まで、米国と世界のために命をささげた約九万人を慰霊する「無名兵士の墓」だ。各国政府の要人が米国を訪れると、ここに献花していく。先ごろ、訪米した日本の田中真紀子外相も、祈りをささげた。

 木立と静寂に囲まれる中、衛兵がここを守る。その任務は風雨、昼夜にかかわらない。人知れず、戦火に倒れた兵士たちに対する米国民の感謝の気持ちを、衛兵が表しているのだ。世界から約四百万人の観光客がここを訪れるが、国のために犠牲になる尊さが伝わってきて、だれをも厳粛な気持ちにさせる。

 戦争の記憶が薄れる一方で、国のために生きることや愛国心を忘れかけている日本人が最も訪れるべき場所だと思う。七月四日は米国の独立記念日。今は、米国人の愛国心が最も高揚する季節である。


アルゼンチン・ブエノスアイレス在住
江頭利将

アルゼンチン航空の悲劇

 今月アルゼンチンで一番話題を呼んだ人は、前大統領のメネム氏だ。まず、今月初めの再婚。その相手が元ミスユニバース・チリ代表で三十五歳も年下のボロッコさんだったから大騒ぎとなった。さらに、彼は武器密売疑惑で訴えられ、現在逮捕され、自宅軟禁の状態にある。

 加えて、彼が就任中に民営化したさまざまな企業の中の一つ、アルゼンチン航空の経営が行き詰まり、大株主のスペイン系企業が経営立て直しを放棄してしまった。労働組合はボイコット運動を展開、一カ月たった今も国際空港では労働組合のシュプレヒコールがあがっている。

 ハイパーインフレに苦しんでいたのを、今のように経済的に安定させたのは、メネム政権のとった政策が功を奏したことは間違いない。しかし、そのしわ寄せが、彼が退いた今、確実に押し寄せている。

 国営企業の民営化で、確かに短期間で経済的な不安定さはなくなった。だが、国の財産を外国企業に売る形で民営化したために、何か問題が生じた場合、国だけでは解決できなくなった。それらの企業はアルゼンチンという名前はあっても、利益や名声はすべて外国のものだ。

 アルゼンチン唯一の航空会社も株主が手を引き、労働者の叫び声はやり場のないものとなり、自尊心を重視する彼ら自身が傷つく結果となっている。自業自得と言わざるを得ない。


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