世界の街角
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韓国・ソウル市在住
京谷訓浩

「暖かいふろ」への郷愁

 私が、韓国に来て一番辛かったのは、言葉が通じないことよりもふろに入れないことでした。というのは、家のふろは、ほとんどがトイレと共用なので、熱いお湯をたっぷりためてゆっくりつかっていることができないのです。それで、普段はシャワーのみで済ませてしまうのです。

 ところで、韓国の銭湯ってどんな施設か気になると思いますので、紹介しようと思います。銭湯のことを韓国語では、「モギョクタン(沐浴湯)」と言います。必ずと言っていいほどサウナがあり、脱衣所にはベンチプレスなどの運動器具が置いてあります。

 一般の営業時間は、早朝五時から夜八時までです。何でこんな朝早くからふろに行くのか?と聞くと、決まって「夜はお湯が汚いからふろに入る気がしない」とのこと。たしかに、ふろには日本のように浄化施設がなく、夜になると、お湯はすごく濁っています。あれでは、よっぽどのことがない限り、入りたくはありません。

 沐浴料金は普通四千e(約四百円)です。サービスとしては、男湯はあかすりとタオルを提供してくれますが、女湯はタオル持参で入らなければなりません。なんでも、男湯ではタオルの持ち逃げがありませんが、女湯ではおばさんたちが必ずと言っていいほどタオルを持って帰ってしまうということでした。

 そんな中で、二十四時間営業の温泉に、車で三十分ほどで行けるところに赴任して、やっと一週間に一度は、ゆっくりお湯につかることができるようになりました。本当の温泉で、夜でもきれいな湯船につかることができます。これで楽しみがひとつ増えました。


アルゼンチン・ブエノスアイレス在住
江頭利将

“国家危険度”って何?

 アルゼンチンに来て初めて聞いた言葉に「国家危険度」がある。これは、国家の政治、経済などをランク付けし、国家の信頼度、安定性を具体的な数字にしたものだ。最初はピンとこなかったが、ここで生活してみると、否が応でもその数字と対面することになる。

 なぜならアルゼンチンは長く続く高失業率と不景気が重なり、経済的に厳しい状況にあるため、最近はずいぶんこの国家危険度が新聞をにぎわせているからだ。きょうはいくら上がったとか、少し下がったとか、毎日株価に一喜一憂するのと似た感覚だ。

 たとえば、経済大臣がある方針を発表する。そうするとそれによる経済的な波及効果、民衆の反応などを考慮し、国家危険度が算出されるという仕組みだ。ただ一般人としては、毎日変わるその危険度を実感するのは難しく、この数字がどれほどの力を持っているのかは全く知る由もない。これは外国人の私だけではなく、現地の人にとっても生活に影響を与えるようなものではないらしい。

 しかしながら、大統領が代わったりすると、国家自体の方向性が全く変わったりするため、そんなアルゼンチンを正しく把握するには、何らかの客観的方法で見る必要があることは私も理解できる。

 でも一人の人間に等級を付けられないのと同じように、国家にも等級などは付けられないと思う。毎日自分の愛する人がランク付けされているようで何となく気分が悪い。自国がどのように外国から見られているかを知ることも必要だろうが、「国家危険度」というのはいただけない。「国家安定度」くらいにしてほしいものだ。


ウルグアイ・モンテビデオ在住
薬師寺富代

歴史が刻印された公園

 ウルグアイの首都モンテビデオにはいくつもの公園があります。中央通りに当たる7月18日通りの突端にあるインディペンデンシア公園は、ウルグアイ独立の英雄アルティガス将軍の墓があることで有名な公園。アルティガス将軍のことは以前お話ししたと思いますが、外国の要人がウルグアイを訪れたときには、まずこの墓に花束をささげます。それがこの国への最高の礼儀なのです。

 この7月18日通りをまっすぐ反対方向にぐんぐん行くとバジェ公園につきます。ここも緑の美しい広い公園です。7月18日通りは二つの公園を両端に持つ有名な通りなのです。そして途中にはファビニ公園、カガンチャ公園など小さいですが、恋人たちや老夫婦がのんびりと憩う公園もあります。

 モンテビデオ市内で一番広いのはプラド公園。モンテビデオの一等地といわれた高級住宅街の中にあります。巨大なユーカリの並木道があり、なだらかな丘が幾重にも続く大変美しい公園です。ウルグアイは何と言っても牛。毎年、牛の品評会がプラド公園で盛大に行われます。その時は数日間お祭りで、公園の中も外もいろいろな食べ物屋や洋服、アクセサリー、バッグ、じゅうたんなどさまざまな店が並び、ウルグアイ国民が皆プラドにいるといわれるほど多くの人が集まってきます。

 7月18日通りをファビニ公園から、左にそれた通りの突き当たりには国会議事堂を包みこむ公園があります。国会議事堂はすべて大理石でできており、まるで宮殿のよう。国会議員が集まって審議するその場の壁には「家庭は国家の礎である」という言葉が重々しく刻まれています。


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