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南ア共和国・ヨハネスブルク在住 長野康彦
病気にもなれない事情
先日、四〇度近い熱が出た。普通なら発熱前に体がだるいとか、のどが痛むとか、それらしい兆候が見られるはずだが、今回は何の前触れもなく突然やってきたので、ちょっとあせった。
解熱剤を飲んで布団をかぶってただひたすら眠れば、汗をたくさんかいて熱は下がる、というのが私流の風邪の治し方だ。しかし、今回はそれも効果なし。一応汗をかいて多少気分が良くなったので、熱は下がったかな、と思ったら、また高熱がでる。これは何か変だ、ひょっとして変なウイルスに感染したか…と冷や汗が出た。
熱が下がらず、観念して病院に行くことにした。私立病院は料金が高いので、知人に公立病院の緊急窓口に連れていってもらった。しかし、窓口には人がいない。緊急なのに何をしているのかと、憤慨しながら待つこと三十分。ようやく診察の手続きをする段階になって、これこれの金額を払えという。医者に診てもらってもいないのに変な話だと思いながらも、所定の金額を払う。
さあ、これでやっと診察かと思いきや、なんと順番待ちの患者がすでに大勢いるではないか。しかも医者はたった一人。「四〇度の熱で死にそうなんだけど…」と受付の看護婦に訴えても「順番は順番です」とそっけない。体がフラフラの私は、こうなったら自分で治してやるわい!と、半ばヤケになりながら家に戻った。
南アフリカでは最近、より高額な給与を求めて医療関係者の海外流出が増加し、国内は慢性的な医者不足だという。これではおちおち病気にもなれない。ちなみに三日三晩の格闘の末、ようやく熱は下がったのであった。
ブラジル・マットグロッソドスル州在住 濱田純一
「NO」と言わない人々
ブラジルは、アミーゴ(友達)の社会。初めての人でも、「オー、アミーゴ!」なんて言って、平気で近づいてくる。逆にいえば、その場の雰囲気を取りつくろうのに見境ないといってもいいくらいだ。
「後で寄るから」「午後、寄るから」「明日の朝、八時に行くから」「私がそのお金はなんとか工面するから」等々、さまざまな会話のエンディングがあるが、実際にそのとおりにするということは、残念ながらマズない。ようやく私も本気で言っていることなのか、ただ別れる時のあいさつなのか、区別がつくようになってきた。
以前は、「朝来る」というから、一日待っていたのに現れず、困ったことが何回かあった。しかし、数日後、何事もなかったかのように、ニコニコとして、「どうしてた?」なんて言って来るのである。この前は悪かった、と一言いえばいいのに、その件については一切触れない。どうやらすっかり忘れているのではないかと思うほどだ。あえて「なんで来なかったの?」と聞くと、謝ることはなく、あの時はこういう事情があったんだ、と弁解してくるだけだ。
お金に関しても、その場の体面を立てるのは得意で、「ああ、彼は本気でなんとかしようとしてるのかな」と期待を抱いても、全く何もしないのを何度となく見てきた。
以上のことはすべての人々に当てはまるのではないが、なかなかその人の本意がどうなのか、分かるまでかなり苦労したというわけである。私には、面と向かって「NO」と絶対言わないブラジル人、という言葉がぴったりという気がしている。
イスラエル・テルアビブ在住 野中 直
ハイテク最先端を行く国
十一月の初めにテルアビブのエキシビションセンターで情報通信関係の大規模な展示会「テレコムイスラエル二〇〇〇」が開催された。イスラエルと言えば、現在ではパレスチナとの衝突で有名だが、ハイテク産業は世界の最先端を行く。ウィンドウズNTもペンティアムMMXもイスラエルで開発された。
今回の展示会では電信電話関係からIT(情報技術)を含めた広範囲の企業が参加した。その中で特に面白かったのは立ち上げたばかりの会社が参加している「スタートアップ」のブースである。ここには使い物になるかならないかは別としてユニークな技術があふれていた。
イスラエルでハイテクが発展した理由はいくつかある。流浪の民であった彼らにとって、彼らの頭脳だけが財産だったことが第一である。お金や物は過ぎ去っていっても、数千年の間に築かれた思考方法や教訓は受け継がれている。人と同じことは考えない、人がやっていないからこそやるという考え方を小学校から教えられる。
政府もベンチャーを支援しており、審査に合格すれば融資を受けられ、失敗してもお金は返さなくてもよいという制度があるのはありがたい。また、イスラム圏との衝突という特殊な地理事情が軍事技術を発展させたこともあるし、旧ソ連で活躍していたユダヤ系ロシア人技術者が大挙移民してきたこともイスラエルの技術を伸ばした要因になっている。
こういった土壌はますますイスラエルのベンチャーを発展させる。複雑な中東情勢にかかわらず、これからもイスラエルの技術が世界をリードしていくのは間違いないだろう。

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