|
ウルグアイ・モンテビデオ在住 薬師寺富代
豪華だが古い賃貸住宅
ウルグアイは今寒い冬を越えて春を迎え、そこここにかわいい花々が咲き始めています。
私がここに来てすぐ寝泊まりすることになった住居は古い石造りのアパート。ウルグアイ人に聞いた話では、百二十年ぐらい前の貴族の館だったとか。確かに玄関の踊り場や階段はすべて大理石。天井や窓は凝ったステンドグラスが入っています。相当に豪華だったとうかがわれます。
しかしそのぼろさかげんといったら、天井は雨が長く降ると水が漏れ漏電して電灯はつけられません。さらに長雨になると真ん中からシャワーのように水が降り注いできます。住んで三年の間に二回も天井の修理をしました。モンテビデオの町にはこのような古い貴族の館が大変多いのです。ここの人たちは家がどんなに古くなってもなかなか建て直しません。
造りは、玄関を入るとまず踊り場、そしてすぐ上に上る階段になります。上りきったところにホールがあり(ここが一階。間違えやすいのでご注意)、ホールを真ん中にして周りにたくさんの部屋があるというのが一般的です。これを今ではアパートとして使っているところが多いのです。決して広くない一部屋に一家族が住んでいます。ただの部屋で、台所とトイレは共同です。
ウルグアイの住宅事情はなかなか厳しいものがあります。部屋代の更新は毎年大幅値上げが普通。ですから給料がよくならない限り、毎年もっと安い部屋へと引っ越しをせざるを得ないのです。せっかく知り合いになれても、一カ月後に会いに行ったらもぬけの殻だったなんてことはしょっちゅうです。
アルゼンチン・ブエノスアイレス在住 江頭利将
“貧民層”の増加が続く
国立統計院の報告によると、現在首都及び近郊都市だけでも三百五十四万六千五百人の人々が貧しさに苦しんでおり、この数字はこの一年で約一〇・八%も増加したという。
首都及び近郊都市には約千二百万人が住んでいるが、その二九・七%は基本的な衣食住が十分でない。言葉を換えれば、一日に四ドル未満で生活していることを意味する。アルゼンチンでは、一般に四人家族を基準とした場合、一月に平均四百八十ドル未満の収入を得ている家庭を貧民層と呼ぶ。つまり一人当たりの一月の費用が百二十ドル未満ということだ。
しかし、首都近郊はまだよい方で、アルゼンチン全体の貧民層が占める割合は四〇%にもなる。二十世紀初頭に世界的な富裕国として名をなしたアルゼンチンだが、今は見る影もないというところか。
この理由を経済専門家は、「新たに十二万人が今年に入って失業」「政府の失業手当及び補助が大幅に削減された」「九〇%以上の労働者の俸給が去年の同時期に比べ縮小した」などを理由として挙げている。しかし、これに対する明確な解決策が明らかにされていないことが大変残念である。
さらに今年上半期の経済成長率が〇・八五%にとどまったことが明らかになった。前年度のマイナス成長からは脱皮できたが、政府の期待からは大きく離れ、政府も軌道修正を余儀なくされている。
しかし、天然資源を豊富に持つ国家がそれを上手に活用できず、国民が貧困で苦しんでいるのは何ともおかしな話である。為政者をはじめとした抜本的な改革が今必要とされていることを痛感する。
(江頭利将・ブエノスアイレス在住)
韓国・ソウル市在住 原田 一
人気爆発のキックボード
私はかつてソウルで新聞配達をしたことがあるが、自転車ではかなり大変だった。片道は楽でも、帰りは自転車を置いていきたくなるほどである。
ソウルの街は坂が多い。真ん中には南山があるが、方々にも小高い丘があり、細い路地は大抵坂か階段になっている。そのためか、自転車の普及はあまりなされていないようである。自転車店というのも見たことがない。その代わり、オートバイは数多く見かける。歩道まで乗り上げてくるのには閉口するけれど…。
ある日、ほとんど平地の大田(テジョン)に行ったとき、初めて韓国で大きな自転車店を見つけて、なるほどと思った。
ところで、最近子供たちの間で人気爆発の乗り物がある。キックボードがそれで、昔の足でこぐスクーターに似ているが、折り畳み式で持ち運びに便利なのが特徴である。後輪にはちゃんとブレーキも付いている。
これなら短い距離で乗るには十分で、上り坂が続くなら引いていくのも苦でないし、バスや地下鉄に乗るのにも便利である。
凝ったものは、車輪が回転するとカラフルな光が出て、これはかつてはやったヨーヨーの応用である。夕暮れには、暗い路地がこの光できれいに飾られている。
ただ、路地には数多くの子供たちがこのキックボードを乗り回しているので、交通事故の危険があることが少々心配である。先日もタクシーに乗っていてハッとした。
うちの娘にも、前からせがまれて、とうとう七万ウォンのキックボードを買ってやったが、たまにはこれで出勤してみようかと思っている。

|