2008年9月2日
福田首相が辞意
在任1年、政権運営行き詰まり
「新布陣で政策実現を」/麻生氏軸に後継選び
福田康夫首相は一日夜、首相官邸で緊急に記者会見し、「新しい布陣の下、政策実現を図らなければならないと判断し、辞任を決意した」と述べ、退陣を表明した。政策や衆院選をめぐって連立を組む公明党との亀裂が露呈。求心力が低下する中、十二日に召集予定だった臨時国会を乗り切るのは困難とみて、退陣により事態打開を図る必要があると判断した。自民党は速やかに総裁選を行う予定で、後継選びは麻生太郎幹事長を軸に進むとみられる。ただ、昨年九月の安倍晋三前首相に続いて政権を投げ出した形となり、新首相の下での体制立て直しは容易でなさそうだ。
記者会見で辞意を表明する福田康夫首相=1日夜、首相官邸
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首相は会見で、就任以来、政治とカネや年金記録漏れなど「積年の問題への対処に忙殺された」と指摘。同時に、道路特定財源の一般財源化や消費者庁設置の方針決定など「新たな方向性は打ち出せた」と強調した。その上で、参院で野党が過半数を握る国会で厳しい運営を強いられてきたことに触れ「体制を整えた上で、国会に臨むべきだ」と辞任の理由を説明した。
首相は、先週末に辞任を決意したことを明らかにするとともに、表明のタイミングについて「国会の実質審議入りには時間がある。国民にも大きな迷惑は掛からないと考え、この時期を選んだ」と述べた。
会見に先立ち首相は、麻生氏と町村信孝官房長官と首相官邸で会談し、辞意を伝えるとともに、麻生氏に総裁選の手続きに入るよう指示した。
首相は八月一日に内閣改造を断行、人気のある麻生氏を自民党の幹事長に起用したが、低迷する内閣支持率に大きな変化はなく、党内では「福田首相では衆院選は戦えない」との声が広がっていた。
また、年末・年明け解散に照準を合わせた公明党は、所得・住民税の定額減税を主張し、政府を押し切って先週の総合経済対策に盛り込ませた。さらには、インド洋での給油活動を定め来年一月に期限が切れる新テロ対策特別措置法について、臨時国会で三分の二以上で再可決し、延長することに難色を示すなど、独自色を強め、首相との関係がぎくしゃくしていた。
一方、民主党は、臨時国会での衆院解散を目指し、新政権と徹底対決していく方針。鳩山由紀夫幹事長は記者団に「国会軽視、国民無視の手法だ」と首相を厳しく批判するとともに、「直ちに解散・総選挙を行うべきだ」と求めた。
首相は安倍前首相の辞任を受けて○七年九月二十五日に第九十一代首相に指名され、同二十六日に発足した自らの内閣を「背水の陣」内閣と命名した。
政治不信、一段と加速 公明揺さぶり、意欲喪失
【解説】福田康夫首相が辞任を表明したのは、これ以上政権に踏みとどまっても、十二日召集を予定していた臨時国会を乗り切れないと判断したためだ。年末・年始の早期解散を主張し、国会日程や経済対策で公然と要求を突き付けてきた公明党が、首相の政権運営への意欲を喪失させたと言える。昨年の安倍晋三前首相に続く「政権投げ出し」への批判は免れそうもない。
首相サイドは、新テロ対策特別措置法延長に加え、原油高を受けた景気対策、消費者庁設置法案など「国民目線の政治」にまい進するはずだった。しかし、公明党は新テロ法延長法案の衆院再可決に反対、民主党と協議するよう求めていた。
参院で民主党など野党に主導権を奪われている上、与党内でも次期衆院選をにらんで独自性を強める公明党に主導権を握られ、国会日程ひとつ思い通りに決められない状況の中、これ以上の政権運営は不可能と判断しても無理はない。与党が「ポスト福田」の新体制を整えるには、自民党総裁選など一定の期間が必要なため、「政治空白をつくらない一番いい時期」(首相)を選んで辞任表明に踏み切ったとみられる。