2008年5月4日
「憲法審査会」の開会急げ
憲法記念日 各地で改憲推進集会
憲法施行後六十一年目となる憲法記念日の三日、東京、沖縄など各地で改憲、護憲双方の立場から集会が開かれた。都内では、民間の改憲運動を主導してきた「新しい憲法をつくる国民会議」が第三十九回新しい憲法をつくる国民大会を開催し、速やかに憲法審査会を開会するよう求める大会決議を採択した。また、「21世紀の日本と憲法」有識者懇談会(民間憲法臨調)も、第十回公開憲法フォーラムを開き、同じく、速やかに憲法審査会の設置を求める緊急提言を発表した。一方、沖縄県那覇市では、「自主憲法制定沖縄県民会議」が主催する新しい憲法をつくる沖縄県民の集いが開かれた。
与野党で議論活発化を
憲法記念日の3日、都内で開催された第39回新しい憲法をつくる国民大会
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新しい憲法をつくる国民大会では、清原淳平・国民会議会長代行が(1)憲法を修・改正しないことの弊害(2)制定過程上の欠陥(3)形式上の欠陥(4)内容上の欠陥(5)改正問題を扱うルールの欠如――の五つの観点から改憲の必要性を解説した。
この後、来賓あいさつとしてまず、船田元・自民党憲法審議会会長代理が、憲法審査会の現状を「看板は掛かっているが中身は何もない。法律違反状態だ」と指摘し、憲法審査会を今国会で始動すべきだと強調した。
また民主党の小沢一郎代表が、国民投票法案の衆院採決直前に「民主党案丸呑(の)み」を要求して自公民合意を壊したことを紹介しながら「政権を取るまでは憲法改正はしない、政権を取ったら議論するという思いがあるに違いない」と批判。民主党に対し「政権担当能力がある政党であると言うならば、今からでも明日からでも公党の約束を守ってほしい」と述べた。
唯一の参院議員である岸信夫氏は「参院第一党として参院をリードする民主党から大会に誰も来ていないのは残念」としながら、民主党に、憲法論議への参加を訴えるとともに、「憲法論議を見えるような形にするため、まずは憲法審査会を早く立ち上げるべきだ」と強調した。
石原宏高衆院議員は、現行憲法がいわゆる「押し付け憲法」であり、「米国が日本の底力を弱めるために、個人主義を前面に押し立てている」と指摘。その上で、日本人本来の気質であり、家族主義や団体主義の根本となっている「和を重んじる思想」を憲法に反映させるべきだと主張した。
小池百合子前防衛相は、憲法改正の動きを「軍国主義の復活」とする他国の批判が、「日本がODA(政府開発援助)とともに最も世界から求められている国際平和支援活動を縛っている」と指摘。同活動を強化していくためにも憲法改正は必要だと力説した。また、環境相、首相補佐官(安全保障担当)などを務めた体験を踏まえ、(1)環境権の明示(2)軍事裁判所の設置(3)首相公選制導入――などの必要性に言及した。
平沢勝栄衆院外務委員長は「海上保安庁は一九六三年に初めて北朝鮮の不審船を発見し、銃撃戦で不審船を沈没させた二〇〇一年まで、二十一回も不審船を見つけては北朝鮮の領海線まで追いかけたが、(憲法の制約で)そのまま引き返してきた」と述べ、「拉致問題は、最初はともかく二回目からは(不審船を)実力ストップしていれば防げた」とし、憲法改正の必要性を訴えた。
「新しい憲法をつくる国民大会」来賓あいさつ
今国会での審査会始動を
自民党憲法審議会会長代理・船田元氏
国民投票法が昨年五月十八日に施行されて、間もなく一年になる。残念ながら今国会でも憲法審査会が動いていない。衆参両院に憲法審査会が設置されてはいるが、あるのは部屋と看板だけ。会長や幹事、委員数などの構成要件などを定める審査会規程が決められていないためだ。国会法が改正され「次の国会から憲法審査会を設置する」と明記されているのだから、まさに法律違反状態だ。
憲法改正には衆参両院の三分の二以上の賛成で国会が発議することが必要。だから、自公民三党が同じ考えに立たなければならない。国民投票法案も三党がずっと協議してきた。これを小沢代表が直前で覆した。この態度は許されないことだ。自民党も衆院で三分の二を保つのは厳しい。国会での話し合いのルールが必要な段階に来た。
最近の各種世論調査でも、国民の半数が「憲法改正は必要」としている。国会の憲法論議が冷え込んでいる時に国民はよく考えてくれている。通常国会の残り期間で何とか審査会を始動させ、憲法改正に向けた議論ができるよう全力を尽くす。
軍事裁判所の早期設置を
前防衛大臣・小池百合子氏
環境大臣当時、地球温暖化防止のためのクールビズ、レジ袋の有料化を導入しようとしたとき、憲法違反だという声が上がった。憲法第二二条の職業選択の自由に反するというものだった。実際にはレジ袋削減は自主的な取り組みで進んでいるが、環境権を憲法にしっかりと盛り込むべきだ。韓国やスペイン、ドイツなどでは既に取り入れている。
イージス艦の中枢情報が流出し、日米同盟の信頼が崩れていっている。これから裁判が行われるが、普通の裁判では国家の情報を守ることができない。現行憲法は特別裁判所を認めておらず、わが国には軍法会議・軍事裁判所がない。同盟国が厳しい目で見ている。軍事裁判所の設置が急がれていると思う。
戦後の平和を守ってきたのは九条だけではない。日米安保条約が有効に機能していたからだ。インド洋での給油問題で、国会は不毛な議論を延々と繰り返してきた。自衛隊員を危険にさらしていいのか。憲法改正に真正面から取り組むべきだ。
「拉致」の根本に憲法問題
衆院外務委員長・平沢勝栄氏
拉致はなぜ長い間防げなかったのか。これは行き着くところは憲法問題だ。海上保安庁は、北(朝鮮)の不審船を一九六三年に最初に発見して以来、二〇〇一年の奄美大島沖での銃撃戦までに二十一回も見つけている。しかし、海上自衛隊の艦船とヘリで北の領海線まで追跡して、そのまま引き返しているのだ。こんなバカな国がどこにあるか。不審船を捕まえるためには場合によっては実力行使もやむを得ないはずだ。
こうした状況の根本には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して……」という日本国憲法の前文がある。しかし、実際にはわれわれが悪いことをしなくても、相手が悪いことをすることもある。拉致事件はまさにそうだ。
見直ししなければならないのは九条だけではないのだ。時代は大きく変わっているわけだから、全く憲法を見直さないできた方がおかしい。昨年、憲法改正の手続き法案が通った。二年後には確実に発議していきたい。われわれの子々孫々に引き継ぎ、国民の期待に耐えられる憲法をつくっていかなければならない。
憲法審査会を立ち上げよ
参院議員・岸信夫氏
戦後の歴史の中で現行憲法が、日本の経済発展に果たした役割は大きい。しかし、日本に期待される役割は大きくなり、積極的に貢献していくことが何よりも求められているし、国益に反映していくだろう。昨年の参院選で、民主党は参院で第一党となった。だが、民主党の議員がこの場に一人も来ていない。大変残念なことだ。憲法改正は国家の大事業であり、自民党だけで議論するわけにはいかない。憲法審査会が設置されたが、活動していない。参院でいろいろなことが決められずにいることに、参院議員として忸怩(じくじ)たる思いだ。この二カ月間、まともに審議をしなかったことが恥ずかしい。自民党にも民主党にも猛省を促したい。参議院をあるべき姿にすべきである。英BBCの調査によると、日本は世界に対して、最も肯定的な影響を与えている国の一つだ。さらに国際貢献を果たす日本にしていくことが大切である。そのためにも、憲法審査会を立ち上げて議論をしていく。