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国内政治
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2007年9月13日

進退の時誤った未熟さ

 政治部長・黒木正博

内外の信頼回復に全力を

 政治家、それも首相の進退がこれほど問われた例はないのではないか。安倍晋三首相の劇的な辞任表明の弁を聴き、あまりの説得力に欠ける説明に唖然(あぜん)とした。

 「党首会談を断られた」「テロとの戦いを継続する上で局面を転換しなければ」など、それらしき辞任の理由を述べたものの、国家運営の最高責任者という首相の重みに見合う理由とはとても思えない、唐突かつ軽い進退の弁だった。

 もちろん、首相の職に掛かる心身の重圧は計り知れないものがあろう。その孤独感と責任の重さは例外なく歴代首相が背負ってきたものだった。だが、いずれもその進退のタイミングはそれなりに理解できた。

 例えば竹下登元首相にしても、一九八八年のわが国初の消費税導入で起きた国民世論の反発に対し、翌年自らの首を差し出す形で政局を収拾した経緯がある。

 ただ九〇年代以降では、当時の細川護煕首相が「国民福祉税」構想の頓挫、次いで自らの金銭スキャンダルで政権を投げ出したことはある。

 だが、今回の安倍首相のように、参院選で大敗したにもかかわらず続投宣言し、内閣改造、そして臨時国会で所信表明演説、さらにはそれを受けての野党からの代表質問を控えたタイミングでの政権投げ出しは異例だ。

 安倍首相は、海上自衛隊の給油活動の継続に「職を賭す」との決意を披瀝(ひれき)した。このテロとの戦いに国際社会の一員として取り組む日本の立場から言っても、その決意は妥当だ。

 であるなら、いかにテロ特措法の延長、あるいは新法の成立が民主党の反対で困難な状況であっても、それを見届けることが不可欠だ。その上で辞任を表明するなら、まだ進退の時期としては理解できよう。

 安倍首相は、「戦後レジームからの脱却」を唱え、憲法改正の手続きを定める国民投票法、さらに教育基本法の改正を実現した。こうした戦後棚上げにされてきた問題にメスを入れてきた点は評価したい。その路線は踏襲されるべきだろう。

 いずれにせよ、安倍首相の辞任に伴う政局の混迷を一刻も早く収拾することだ。国内外の課題は山積している。参院で多数を占める野党、特に民主党は、国政の責任を大きく分与されている。ここは国内外の信頼を損なうことのないよう、野党も政治の安定に責任ある対応を心掛けるべきだ。


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