20面 首都圏のページ 2007/04/08 back

継続か刷新か、有権者の選択は?

東京、神奈川の牽引役きょう決定

五輪誘致が公約の石原氏 浅野氏は福祉を最優先に

財政で実績強調の松沢氏 杉野氏は赤字解消目指す

 統一地方選の前半戦となる各知事選は八日、投開票が行われる。東京都知事選と神奈川県知事選の各候補者は選挙運動最終日となった七日、目指す首都圏の未来像などを有権者に訴えた。東京と神奈川の有権者は今後四年間、行政の牽引(けんいん)役を誰に託すのか。実績を評価し、現職か、それとも新しい風を求めて、新人を選ぶのか。主な課題に対する主要候補の主張をまとめた。(岩城喜之、山崎洋介)

 東京都知事選

 ■五輪招致

 二〇一六年東京五輪の招致を最大の公約に掲げるのは現職の石原慎太郎氏。「若い人に夢を見させたい。五輪、やろうじゃないか」と呼び掛ける石原氏は、招致活動と関連して、滞っている三環状道路の整備など都市開発も進める、と訴えた。

 一方、石原氏以外の主要候補者は五輪招致について反対の立場を取る。

 出馬当初、五輪招致について「立ち止まって考える」としていた浅野史郎氏は「多くの都民の声を聞いたが、『ぜひやってください』という人は一人もいなかった」と強調。中盤戦以降、「五輪招致をやめる」とする公約を打ち出した。

 吉田万三氏は「五輪計画は白紙」を掲げる。黒川紀章氏は「五輪招致の中止。代わりに、障害者と健常者が一緒に参加できる新しいタイプのパラリンピックをやろう」と訴えた。

 ■情報公開

 情報公開の目安にされる全国市民オンブズマン連絡会議が公表する「情報公開度ランキング」。東京都は、十年連続で失格になっている。

 宮城県知事時代に情報公開を売りにしてきた浅野氏はそこを突いた。「情報公開は世の中の常識」と、街頭演説では必ずと言っていいほど、この得意分野を有権者に訴えた。「情報公開度ランキングで、二年以内にトップ3入り」を目標に掲げる。

 石原氏は「分かりやすくした方がいい」と一定の情報公開に意欲を見せる。しかし、「公開には限度がある。宮城県で『警察の調査経費を開示しろ』と言ったら、検挙率が下がった」と、すべての公開には疑問を投げ掛ける。

 ■暮らしと治安

 「私の本籍地は福祉」。これは浅野氏が街頭演説の決めゼリフにしている一つ。発表した「すぐに取り組む三つの緊急課題」の中では、福祉を一番の優先課題とした。震災対策も重要政策として同時に掲げる。

 吉田氏の福祉対策は「妊婦健診と出産費用の無料化の実施」。「新たな医療費助成制度の創設」も視野に入れる。

 石原氏は都民の暮らしについて「都民の目線による医療と福祉を進める」と説明。同時に、空き交番の解消など治安対策を積極的に行い「世界一安心・安全な首都東京」を目指す。

 ■都の将来像

 石原氏は昨年末に発表した「十年後の東京」を都市計画の中心に据える。他の首都圏知事とともに協力体制を築きながら、政策の実現を図っていく考えだ。また、実績を出したディーゼル車排ガス規制を「二酸化炭素の削減施策に拡大させる」意向を示すなど、東京の近未来像を提示する。

 浅野氏は「高齢化社会が進む東京の中で、孤独死はさせない」と述べ、「安心して、地域の中でぬくもりを感じながら生きていける東京」の実現を目指す。さらに「震災で犠牲者を出さない東京」にするため、「四年以内に住宅の耐震化率を85%」を公約する。

 吉田氏は「福祉充実・くらしの安全を最優先にした都政を作る」と訴えた。それを実現するための総事業費約五千億円は「大型開発をやめた財源を充てる」。

 黒川氏は災害時のバックアップ体制の強化のために「首都機能の一部移転」を実現。新銀行東京、都庁舎、国際フォーラムは民間に売却する。

 神奈川県知事選

 ■財政問題

 県財政について、杉野正氏は「この四年間で五千三百億円も借金が増え、総額二兆九千億円に迫る壊滅的赤字になっている」と批判。民間手法を取り入れた県庁の解体と再生、知事など特別職の退職金の廃止を訴える。

 これに対し、現職の松沢成文氏は「県債は適当な量でキープすることが大事」と反論。その上で「県職員を千五百人削減し、人件費を千百六十一億円抑制した。一人当たりの県債残高の少なさは日本一」と、実績をアピールした。

 鴨居洋子氏は「大型公共事業を見直し、福祉、医療、教育を優先させる」と強調した。

 ■教育問題

 松沢氏は、いじめや不登校の背景として「社会性、公共心、思いやりをはぐくむ教育を受けていない現状がある」との認識を示し、教員OBや専門家による緊急対策チームの創設、社会奉仕活動やあいさつ運動の推進を訴える。

 杉野氏は「校内暴力、不登校、いじめがこの四年間で四十七都道府県のうち最悪レベルになってしまった」と指摘。学校に社会人千人を登用することや、いじめ対策を検討する専門家集団の起用を公約する。

 鴨居氏は、「過度な競争にさらされている現状を変えていかないといけない」と主張。学校カウンセラーの充実や三十人以下学級の実現を訴える。

 ■産業振興策

 松沢氏は、県内に工場や研究所を建てる企業に約七百億円を助成する企業誘致策「インベスト神奈川」について、「八十四社の新しい投資を呼んできた。研究開発機能の集積を進め、中小企業に技術移転をしていくことで、神奈川全体の経済が浮上してくる」と成果を強調した。

 杉野氏は「県内企業の開業率は廃業率を下回る。(全企業の)98・1%を占める中小企業を活性化しないかぎり、産業は活性化しない」と指摘。無利子、無担保、赤字でも供給できる資金を設置し、開業率の向上を目指す。

 鴨居氏は、「補助金の額としては100%近くが大企業に注がれている。思いやる先が違う」と批判。「空前の利益を上げている大企業から応分の負担をいただくべき」と訴えた。

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