| 13面 グラフ 2007/04/08 | back |
余部鉄橋に鉄道ファンら殺到−景コンクリート橋への架け替え工事始まる−JR山陰線国内最大規模の「トレッスル式」鉄橋として知られる兵庫県香美町のJR山陰線・余部(あまるべ)鉄橋で、コンクリート橋への架け替え工事が始まった。余部駅には名残を惜しんで多くの観光客や鉄道ファンが詰め掛けている。余部鉄橋は山陰線鎧(よろい)駅と余部駅間に架かる鉄橋で、一九一二(明治四十五)年三月に開通。当時、二年の歳月と三十三万一千円余の巨費、延べ二十五万人の人夫を投じて完成。高さ四一・五b、全長三一〇bのやぐら状の橋脚を十一基持つ、完成時は東洋一の規模の鉄橋だった。 一九八六(昭和六十一)年十二月、強風で回送列車がこの鉄橋から転落する事故が起きた。下の工場で働いていた主婦ら五人と車掌の計六人が死亡する大惨事だった。その後は強風時の運行規制により、運休したりダイヤが乱れることもしばしば。今回の工事は三月二十九日に始まっており、潮風を受ける橋脚の耐久性を考慮し、風対策を施したコンクリート橋として平成二十二年度末に完成する予定だ。 余部を訪れたのは、ちょうど工事が始まった日。早朝から列車を乗り継ぎ、豊岡からは浜坂行きのワンマンカー「キハ47」に乗って目的地へ。車内の座席はほぼ満席に近い状態で、時折、車窓からは日本海が垣間見える。 約一時間で余部駅に到着。駅のホームに降り立つと、鉄橋をデザインしたオリジナルオレンジカードを買い求めたり、記念のスタンプを押す観光客らが殺到。駅員たちが乗降客の対応に追われていた。 余部駅の裏山には、絶好の撮影ポイントになっている展望台があり、鉄道ファンのカメラマンで埋まり、身動きできないほど。場所取りの混乱を避けるため係員が整理に当たっていた。 滋賀県からマイカーを走らせて来たという四十代の男性は「建て替えが始まる前に、どうしても一度見ておきたかった。新しいものより古いものに愛着がわく。日本海を取り入れたダイナミックな橋脚の写真を撮りたい」と声を弾ませた。 山陰線は上りと下りの普通列車が一時間に一本ずつしか運行していない。特急の「はまかぜ」は通過するだけ。橋脚の上を列車が走る雄姿を撮影するには長時間待たなければならない。やがてワインレッドの「キハ47」がトンネルから姿を現し、十一基の朱色の橋脚に支えられた線路上をスピードを抑えながら通過する。 次に遊歩道を歩いて橋脚の下へ降りてみた。山あいの集落をまたぐ形で鉄橋はつながっている。下から見上げると、その威容に圧倒される。轟音(ごうおん)を残しながら列車が通過して行った。真下の民家は常に危険と隣り合わせのように思われた。 (文と写真・石田 渉)
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