| 3面 国内総合 2007/04/08 | back |
【社説】国連温暖化報告/地球の危機に緊急警報地球の危機に緊急警報が鳴っている。こう言っても決して大げさではない深刻な報告書が、ブリュッセルで開催された国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第二作業部会で六日、採択された。これを受けて国連の安全保障理事会は十七日、紛争予防の観点から異例の会合を開く。温暖化の最大の原因となっている二酸化炭素(CO2)の主要排出国でありながら、温暖化防止のための京都議定書に加盟していない米国や中国などが方針転換し、前向きに取り組むことが不可欠である。 数百万人が毎年洪水経験 IPCC公表の報告書によると、氷河の融解や海岸侵食などの変化がすでに表れている。氷河の融解が進むと、太平洋などの島国で、高潮や洪水の起きる危険性が増す。 また、永久凍土地帯での地盤が不安定になる。そして、COツゥーよりも約二十倍も温室効果の大きいメタンが、永久凍土の融解で、より大量に大気中に放出される兆候があると分析している。 平均気温が一九九〇年比で、二、三度を超えて上昇した場合には、地球上の沿岸部湿地の約30%が失われ、数百万人が毎年、洪水を経験するようになるという。 また、一・五ー二・五度超の気温上昇により、最大三割の生物種が絶滅の危機にさらされるという。二、三度の上昇で、サンゴ礁の大半が白化。陸上の生態系の最大四割が影響を受けるという。 さらに、約一度の上昇で、水不足の被害を受ける人口が、数億人増加すると指摘している。 報告書の予測はまだ続く。農作物の生産量は、気温の低い高緯度地域で増加する一方、低緯度地域では気温上昇に適応できない作物が増え、飢餓の危険が増大すると予測している。気温上昇が三度を超えると、世界全体の生産量が減少に転じるという。 また、今世紀中に森林などによるCOツゥーの吸収力が落ち、温暖化が加速する可能性が大きい。さらに、感染症が増え、熱波や洪水、乾燥による罹患率が増えることなども指摘した。 しかも、温暖化の進行の分析を担当しているIPCCの第一作業部会は先に、今世紀末に地球の平均気温が最大で六・四度上昇するとの報告書を公表しているのだ。 地球の危機的状況を回避することは、人類全体が共有するテーマのはずである。関係諸国は即刻、対処策を講じる必要がある。しかし、今回、報告書の表記をめぐり、温暖化対策に積極的な日本や欧州と、消極的な中国、米国などが対立し、多くの箇所で深刻な数字が削除またはあいまいにされた。 国連安保理では、海面上昇による地形変化で国境紛争が発生する可能性など安全保障に及ぼす影響を列挙し、「国際の平和と安全の維持と回復」(国連憲章三九条)のため議論を深めたいとしている。だが、ここでも中国や京都議定書から離脱した米国は消極姿勢を示唆している。 =日本は指導力の発揮を= 技術力を持ち、環境対策に前向きな日本だが、まずは〇八年から十二年までに温室効果ガス排出量を6%削減するという京都議定書の公約を果たさねばならない。 それと同時に、日本は欧州連合(EU)と連携し、一三年以降の温室効果ガス削減目標などを定める「ポスト京都議定書」の枠組みの中に、米国、中国、インドなどを参加させ、実証可能な形で削減を実行させられるよう、一層のイニシアチブを発揮していくことが求められる。
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