| 3面 国内総合 2007/04/08 | back |
農業生産、2020年に1割減深刻な氷河の融解アジアの温暖化影響・IPCC国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、地球温暖化の影響を評価した報告書をまとめた。IPCCはさらに、地域別の影響を今回初めて詳しく分析し、今秋に発表する全体報告に盛り込む予定で、ヒマラヤ山脈の氷河が大規模に融解することなどによるアジア地域の被害予測も明らかになる見通しだ。同予測は現段階の草案で、農業生産が二○二○年代に一割減少するなどとしている。 ◇「空前」の事態 草案は、ヒマラヤ山脈の氷河が「空前」の融解に見舞われている実態を詳細に記述している。 例えばガンジス川源流の氷河は、最近十六年間に三百七十メートルも山頂に向かって後退。他の氷河では六百五十メートル後退したところもある。氷河の融解で洪水が増える一方、氷河が消失した後は、水源とする河川の水量が大きく減少する恐れがある。 また、永久凍土の融解も深刻で、研究結果によると、シベリア東部の凍土中の温度は年間○・○三度上昇。永久凍土は、二酸化炭素(CO 2)と比べて約二十倍の温室効果があるメタンを大量に蓄積している。融解するとメタンを大気中に放出し、地球温暖化を加速させる可能性がある。 草案はアジアの農業生産について、二○五○年代には最大で三割減少するとの予測も示し、途上国で一億三千万人が新たに飢餓状態になる可能性があるとしている。 ◇南東北以南でコメ減収も 日本国内で猛暑の夏日が増加している状況も報告されている。国内のブナ林の九割が、今世紀末までに消滅するとの研究も示した。 草案に盛り込まれていない研究でも、温暖化が国内の各方面に影響を与えるのは確実視されている。農水省の報告などによると、東北地方南部以南の地域でコシヒカリの生産量が減ると予測され、栽培方法を変える必要があるという。また、中・四国地方でのリンゴの栽培が難しくなるほか、茶葉の収穫量が減少する可能性がある。 さらに、海面が十五センチ上昇すると、全国の漁港で合わせて九千五百億円の護岸工事費用が必要になるとの調査報告もある。 ◇「政策決定者」向け文書 IPCCが今回まとめた報告書は、各国の「政策決定者」に向けた文書と位置付けられている。世界最大の温室効果ガス排出国で、温暖化防止のための京都議定書から脱退した米国や、議定書で温室効果ガスの排出削減を義務付けられていない中国やインドなども対象としている。 議定書に規定のない二○一三年以降の次期枠組み(ポスト京都)を議論する国際交渉が今後、本格化する。途上国にも排出削減を求めたい先進国と、先進国の責任を主張する途上国が対立する構図の中で、同報告書は今後の議論に当たっての科学的知見として活用されることになる。
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