1面 総合 2007/04/08 back

【上昇気流】

 「又花の雨の虚子忌となりしかな」(高浜年尾)。きょうは昭和三十四(一九五九)年に亡くなった俳人・高浜虚子の忌日に当たる。ちょうど今時は桜の花の散る季節で、いかにも花鳥諷詠(ふうえい)を提唱した虚子にふさわしいともいえる▼「願はくは花のしたにて春死なんそのきさらぎの望月の頃」(西行)。そのあたりは、芭蕉が尊敬した歌人・西行が、桜の季節に死ぬことを望んだことと一脈相通じるところがある▼虚子は明治七(一八七四)年、愛媛県松山に生まれ、正岡子規に師事して俳壇興隆に大きな足跡を残した。俳句のみならず文章にも長け、小説、エッセーなども書いている▼人材を抜擢する目もあり、夏目漱石が作家になったきっかけは、虚子の推薦で「吾輩は猫である」を俳誌「ホトトギス」に連載したことによる▼「土佐日記懐にあり散る桜」(虚子)。虚子の俳句には、凛(りん)とした明治人らしい折り目の正しさがあると同時に、剛胆な表現で独自の句境を開拓した。「去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの」という句などは、その剛胆な例だろう▼俳句は日本だけではなく、世界に通じる韻文として知られている。俳句を通しての国際交流も盛んだ。日本独特の詩形である俳句が、果たして外国人に理解できるかという疑問もあるが、その詩心は世界共通であることは間違いないだろう。

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