被災地訪問重ねられる


 天皇、皇后両陛下は東日本大震災発生後、被災者のお見舞いなどのため、東北3県への訪問を重ねられてきた。福島県は今回で6回目の訪問となる。宮城、岩手両県もそれぞれ6回と3回訪れており、被災者への思いを行動に移してきた。

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天皇、皇后両陛下は立谷秀清相馬市長(右)から説明を受け、沿岸部の被災地を視察された=2011年5月、福島県相馬市の原釜・尾浜地区

 「一人でも多くの人の無事が確認されることを願っています」「原子力発電所の状況が予断を許さぬものであることを深く案じ、事態のさらなる悪化が回避されることを切に願っています」。天皇陛下は震災から5日後の2011年3月16日、国民に向けてビデオメッセージを出された。

 両陛下は同年3月末以降、東京都と埼玉県の避難所を1カ所ずつ訪れ、千葉県旭市と茨城県北茨城市の津波被災地を訪問。同年4月27日には自衛隊機とヘリで宮城県南三陸町入りし、被災地に黙礼された。同5月に岩手県と福島県の被災地を訪れ、東北3県を一巡。7週連続のお見舞いを終えられた。

 天皇陛下は11年11月、気管支肺炎で入院。12年2月には心臓バイパス手術を受けられたが、震災から丸1年たった3月11日に東京で行われた政府主催の追悼式には、退院から1週間で出席された。

 両陛下はその後も東北3県に足を運び、被災者を見舞い、復興状況を視察。誕生日に合わせた記者会見や文書での感想、和歌、16年まで毎年出席した震災追悼式の「お言葉」などでも復興への思いを発信されてきた。

 退位まで1年を切り、両陛下の東北の被災地訪問は今回で最後の可能性がある。ただ、側近は「両陛下は苦難が続く被災者に絶えず思いを寄せてこられた。今後もお気持ち次第で足を運ばれる可能性が全くないとは言い切れない」と話している。