両陛下、満蒙開拓の記念館に


引き揚げ者と御懇談


飯田市のりんご並木も御見学

 私的旅行で長野県に滞在中の天皇、皇后両陛下は17日午後、飯田市のシンボルとなっている「りんご並木」を見学し、木の手入れをしている地元の中学生と交流された。

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天皇、皇后両陛下は旧満州からの引き揚げ者と懇談された=17日午前、長野県阿智村の満蒙開拓平和記念館(代表撮影)

 並木は、1947年の「飯田の大火」からの復興に際し、市立飯田東中学校の生徒の発案で植樹され、現在も同校の生徒が手入れしている。両陛下は「どの品種が好きですか」と話し掛けたり、収穫したばかりの「ふじ」を手に取って香りを確かめたりされていた。

 両陛下はこれに先立ち、市の名勝「天竜峡」を御訪問。舟で川下りを楽しむ人々に手を振る場面もあった。

 また、この日午前、同県阿智村にある満蒙開拓平和記念館を訪れ、旧満州からの引き揚げ者と懇談された。

 両陛下は館内の展示を見学後、元開拓団員久保田諫さん(86)ら80~90代の引き揚げ者3人と約30分間御懇談。終戦時に集団自決を試みたエピソードなどを聞いた天皇陛下は「こういう歴史があったことを経験のない人に伝えることが、とても大事だと思います」と語り掛けられた。

 両陛下は戦後70年を迎えた昨年、宮城県の北原尾や栃木県の千振、長野県の大日向と、戦後に引き揚げ者が入植した開拓地を相次いで訪ね、当時の苦難を知る人々と交流されてきた。宮内庁によると、阿智村の同記念館訪問も以前から希望されており、私的旅行の機会に実現することになったという。