冠動脈に軽度の狭窄 心臓の精密検査で

皇后陛下は検査を終え、東大病院を出られた９日午後、東京都文京区

　宮内庁は９日夜、東大病院（東京都文京区）で心臓の精密検査を受けられた皇后陛下（８０）について、冠動脈の狭窄（きょうさく）が認められたが、軽度だとして、経過観察を行うと発表した。今後、胸痛発作の症状に変化があれば、薬剤治療も検討するという。

　皇后陛下は、心臓の筋肉に血流が不足する心筋虚血の疑いがあるとして、同日午後、東大病院で冠動脈のコンピューター断層撮影（ＣＴ）検査を受けられた。病院での医師の説明には天皇陛下も同席された。

　同庁によると、３本の冠動脈のうち、１本に２カ所、他の１本に１カ所、動脈硬化による狭窄を確認した。いずれも比較的軽度で、胸痛の原因となる狭窄は認められなかった。これまで通り日常生活を続ける一方、激しい運動を避け、心身に強いストレスを与えないよう配慮が望まれるとした。

　皇后陛下は６月末ごろから胸に痛みがあり、徐々に頻度が増した。７月２４日に２４時間心電図検査を受けられた結果、心筋虚血が疑われる所見が得られた。

　この日の検査では、血管に造影剤を注入して画像を撮影し、冠動脈が細くなっていないかどうかを調べられた。７月の定例の健康診断で実施できなかったＭＲＩ検査も受けられた。

　皇后陛下は９日午前、長崎に原爆が投下された時刻に合わせ、陛下とお住まいの皇居・御所で黙とう。午後１時４５分ごろ、集まった人たちに車内から会釈されて構内に入られた。同５時１５分ごろには陛下も御到着。同６時すぎ、お二人で車に乗って病院を後にされた。