激戦の島で鎮魂の祈り


両陛下、遺族・生還兵いたわられる

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天皇、皇后両陛下は「西太平洋戦没者の碑」を訪問し、元日本兵でペリリュー島の戦いから生還した土田喜代一さん(中央手前)に言葉を掛けられた=9日午前、パラオ・ペリリュー島(代表撮影・時事)

 【ペリリュー島(パラオ)時事】太平洋戦争中、約1万人の日本兵が米軍と戦い、玉砕した南洋の島で9日、天皇、皇后両陛下が静かに祈りをささげられた。戦後70年の慰霊で訪れた太平洋戦争の激戦地、パラオのペリリュー島。両陛下による鎮魂の祈りを、日本から訪れた遺族や生還兵たちは万感の思いで見守った。

 両陛下は宿泊先の海上保安庁の巡視船「あきつしま」をヘリコプターで飛び立ち、午前10時前ペリリュー島に御到着。強い日差しの中、日本政府が建てた「西太平洋戦没者の碑」にバスで向かわれた。

 生還兵や遺族、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島の各国大統領夫妻が見守る中、両陛下は静かに碑に進み、白菊の花を手向けられ黙礼。続いて、約1200人の日本兵が玉砕したアンガウル島に向かって黙礼された。

 両陛下はその後、ペリリュー島の戦いで生き残った土田喜代一さん(95)=福岡県筑後市=、アンガウル島の戦いの倉田洋二さん(88)=東京都杉並区=や遺族らに静かに歩み寄り、いたわりの言葉を掛けられた。

 先月皇居を訪れた土田さんは、天皇陛下から「この間お会いしましたね」「お大事にね」と声を掛けられた。持っていた杖を振って両陛下を見送り、「両陛下に来ていただいて、戦友たちも喜んでいると思う」と感極まった様子で語った。

 皇后陛下は、戦争で左手を負傷した倉田さんに「けがは大丈夫ですか」と優しく語り掛けられた。倉田さんは「この日をずっと願っていた」と感想を話した。