両陛下、対馬丸遺族らと御懇談


慰霊碑に御供花

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天皇、皇后両陛下は、学童疎開船「対馬丸」の犠牲者を追悼する慰霊碑「小桜の塔」で御供花された=27日午前、那覇市(代表撮影)

 沖縄県を訪問中の天皇、皇后両陛下は27日午前、学童疎開船「対馬丸」の犠牲者を追悼する慰霊碑「小桜の塔」(那覇市)に供花された。対馬丸記念館も訪問し、遺族や生存者と懇談された。

 両陛下は、同世代の多くの学童が犠牲となった対馬丸に以前から強い関心を持たれており、10回目となる今回の沖縄訪問でようやく長年の思いを実現された。

 両陛下は午前10時すぎ、小桜の塔が建つ旭ケ丘公園に到着されると、生存者で対馬丸記念会理事長の高良政勝さん(74)に先導されて塔の前へ。供花台に白菊の花束を手向け、深々と頭を下げられた。

 両陛下はその後、近くにある対馬丸記念館を御訪問。犠牲者の名前が刻まれたパネルや犠牲になった子供たちの遺影などを真剣な表情で見て回られ、「助けが来なかったのはやはり秘密にしておくということが大きかったんですか」などと質問されていた。

 両陛下は引き続き遺族や生存者計15人と御懇談。生存者で当時小学4年だった上原清さん(80)からいかだで漂流した話を聞いた天皇陛下は「よく耐えられましたねえ」と驚いた表情を浮かべ、ねぎらいのお言葉を掛けられた。生存者で、家族を失った真栄城嘉訓さん(80)に対し、皇后陛下は「本当にご苦労さまでございました」といたわられた。

 当時4歳で、母と姉が犠牲となった生存者の照屋恒さん(74)は「感激しました。母も姉も両陛下に来ていただいて心安らかに成仏できたのでは」と語った。

 両陛下は27日午後、那覇空港発の特別機で帰京された。