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犯罪行為の認定も遠くない


“拉致監禁”の連鎖 パート9、10を終えて(下)
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山田舞さん(前列右)と面会する米国務省国際宗教自由担当大使のスーザン・クック氏(同左)

 舞さんは世界基督教統一神霊協会を一度脱会し、宮村氏と行動を共にしていたことがあった。その中で脱会屋側の活動を目の当たりにすることになる。

 水茎会に父兄が集まる様子。脱会した元信者が拉致監禁現場に赴き、棄教を迫る様子。

 それらは取材班がこれまで取材してきた内容と同じで、改めて脱会屋側の活動の実態が浮き彫りになった。

 舞さんの証言が他の人の証言と違う点は、後藤徹氏がいた部屋のドアチェーンに南京錠が掛けられていたことの実体験を語ったことだ。

 舞さんは、後藤氏が家族や宮村氏、松永牧師らを訴えた民事裁判の証人尋問で次のように証言している。

 「小さく合図のノックをすると、後藤さんの家族が中から監禁のための施錠を解いて、私たちが中に入ります。それで、また後ろで施錠をして、後藤さんを逃げられないようにします」「まず後藤さんの家族が施錠を取ります。開けます。私たちが出て、その後、また後ろでガチャガチャと監禁のための施錠をします」

 舞さんは後藤氏が12年5カ月もの間、監禁されていたことを知り、監禁解放直後の後藤氏の姿を写真で見て大きな衝撃を受けた。それで、後藤氏の監禁現場について証言するようになった。

 昨年は、アメリカの拉致監禁被害者の会(SAFE)から招かれて訪米、現地で多くの人権団体や政府機関の人権担当者、関係者らに拉致監禁の被害の実態を訴えて回った。中には、その悲惨な話に涙する人もいた。

 舞さんの懸命な訴えを聞き、拉致監禁という人権問題に憂慮を示したり、批判の声を上げる人が多く出てきた。

 米国政府や議会に対して、政策勧告できるなど非常に強い権限を持つ「米国国際宗教自由委員会」(USCIRF)は直接、舞さんに面会を求めた。この委員会が今年4月に発表した2013年度の報告書の中で「日本における拉致と強制的棄教」と題し、拉致監禁問題を取り上げた。舞さんが米国で訴えてきたことの大きな成果といえるだろう。

 後藤氏の裁判では、拉致監禁について加害者や脱会屋側の関係者が拉致監禁を認めた裁判資料が幾つも提出されている。「青春を返せ訴訟」で原告代理人を務めた弁護士、拉致監禁を実行した親や家族などの聞き取り内容や陳述書がそれだ。

 しかし、これまで脱会屋側は拉致監禁の実行そのものを否定し、あくまで本人の同意の上で行われた「話し合い」または「保護・説得」だったと主張している。過去の裁判では、牧師などの拉致監禁実行者の方が信者を監禁状態に置いたことを認めたケースがあるにもかかわらずだ。

 舞さんの証言とこれらの裁判資料、他の裁判での法廷証言や判決文など拉致監禁を示す内容がある。拉致監禁という行為が、脱会屋側のいう「捏造」や「虚構」ではなく、実際に行われている犯罪行為だと客観的に認定される日がやって来るのは、そう遠いことではないと言えよう。

(「宗教の自由」取材班=編集委員・堀本和博、片上晴彦、森田清策、社会部・岩城喜之)