世界日報 Web版

法治国家の社会正義実現を問う


“拉致監禁”の連鎖(248)パート10
被害者の体験と目撃現場(34)
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後藤徹さんが損害賠償を求めて提訴した民事裁判で、舞さんが目撃した後藤さんの監禁現場について証言した東京地裁

 12年余の監禁被害者である後藤徹氏が、脱会屋や牧師、家族らを訴えた裁判では、舞さんの目撃証言や舞さんを拉致する側にいた弟の陳述書のほかに、重要な証言が記されたいくつかの陳述書が提出されている。

 その一つは、ルポライターの米本和広氏が「青春を返せ訴訟」(後藤徹氏の兄らが脱会後に原告となり、協会に損害賠償を求め提訴した訴訟)の原告代理人を務めた弁護士の伊藤芳朗氏にインタビューした内容をまとめたものだ。

 伊藤氏はこの中で「宮村氏が常習的にやっている脱会説得の手法は、法的に逮捕監禁に当たるものであることが次第に分かってきた」と語り、宮村氏の「脱会説得」は違法行為とする認識を明確に示している。

 伊藤氏は「宮村氏の脱会活動が、脱会活動に名を借りた金儲けであり、実態は拉致監禁であり、棄教の強要に過ぎない」ということを、知り合いの弁護士や牧師らに話したという。

 さらに、日本基督教団の牧師からも「宮村氏は法外なお金を取っている」「やり方があまりにも乱暴だ」「自分たちも宮村氏と同じように見られてしまう」という批判の声が上がっていた、と証言する。

 また「日本基督教団の牧師さんから『宮村さんがある信者を拉致し、1年半だか2年だったか、ずっと監禁している』と聞いたことがある」と回想し、後にそれが後藤氏だったと知ったことも語った。

 舞さんも、後藤氏の監禁現場に行く以前に、元信者から「保護されて、2年くらいうだうだしているのが一人いる」と、後藤氏のことを耳にしていた。

 伊藤氏や舞さんの話から、宮村氏側の間では、後藤氏の監禁の事実がかなり知れ渡っていたことが分かる。

 米本氏が「(後藤さんが訴えた裁判で宮村氏の代理人をしている)山口広弁護士は、宮村氏が拉致監禁説得をしていることを知っていたか」と質問すると、伊藤氏は「もちろん」と答えたという。

 舞さんの被害が「自由に出入りできる親子の話し合い」ではなく、拉致監禁そのものだったことはすでに家族も認めている。その拉致監禁の結果、家族との関係は悪化し、親子共々苦しんだのである。

 舞さんも伊藤氏も、かつては宮村氏の側からその活動を見てきた人たちだ。そうした人たちからも「保護説得」は口実で、実態は拉致監禁だという声が上がってきているのだ。

 特に伊藤氏は弁護士であり、法律のプロとして客観的に宮村氏周辺を考察した結果、違法性が強いことを認識した。

 舞さんは「今もなお、拉致監禁が続いていることに驚かざるを得ない。人を人として扱わない非人道性が、被害者の心に傷を作る。家族をあおって犯罪までに持っていかせ、子供に対し、動物のような扱いをさせるなどというのは、犯罪以外の何物でもない。これが社会的正義の仮面をかぶって闊歩していることが許せない」と憤りの声を上げる。

 舞さんが目撃した監禁の現場と自身の被害体験の証言は、日本が法治国家として社会正義を実現する意思の有無を問うているのである。

パート10

(「宗教の自由」取材班=編集委員・堀本和博、同・片上晴彦、同・森田清策、社会部・岩城喜之)