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脱会強要の牧師、弁明に終始


“拉致監禁”の連鎖(243)パート10
被害者の体験と目撃現場(29)
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小岩裕一牧師が現在所属する日本イエス・キリスト教団・横浜栄光教会(奥の建物)

 「国境なき人権」の取材を受けた2011(平成23)年秋、舞さんは、日本キリスト教団・青梅教会に所属する有馬歳弘牧師を何度か訪問した。

 有馬牧師は、舞さんが拉致監禁の被害に遭った当時、所属していた新宿西教会を、水茎会の集会場として提供していたことがある。舞さんの監禁現場にも何度も姿を見せた人物だ。

 舞さんは「国境なき人権」の調査を受けたことやその時の様子を話した。有馬牧師は当初、協会の関連団体の調査だろうと思っていたようだが、欧州の著名な人権団体だと分かると、驚いた表情を見せた。

 さらに、舞さんは拉致監禁や宮村氏の手法、後藤徹氏の12年5カ月もの監禁について、どのように考えているかを知りたいと思い、いろいろ質問した。

 すると有馬牧師は「宮村さんがやっている脱会説得は牧師がやることではない。自分は宮村さんの脱会説得の現場には同席しないで、少し距離を置いて、脱会した信者のケアをする形で手伝うことにした」と話したという。宮村氏の手法に強い疑念を示したものの、自身の関与についてはあいまいな答えだった。

 水茎会については「(同会の)中心的な父兄たちが、新しく相談に来る父兄たちに、宮村さんの意に即した細かい指導をしていた」とし、「水茎会に最初なかなか慣れなかった(舞さんの)お父さんには同情した」など、両親の話にも及んだ。

 また、有馬牧師は協会を脱会した人から「(宮村氏の脱会強要は)ひどいやり方だ」と憤懣やる方ない思いをぶつけられたこともあったという。有馬牧師は、一時、信徒たちの脱会強要で協力関係にあった宮村氏を「ファシズム的で、帝王のようになっている」と少し距離を取って冷静に見詰めていたようだった。

 一方、舞さんの最初の拉致監禁に関わり、監禁現場にもたびたび来ていた小岩裕一牧師には「国境なき人権」報告書の日本語版が出た後に会った。小岩牧師は舞さんと対面すると緊張した表情を見せた。

 舞さんが当時の小岩牧師の行為に言及すると、「美山さんが、ああいう出来事(拉致監禁)で傷を負われたとしたら謝ります」といったんは謝罪した。しかし、拉致監禁についての具体的な話になると口をつぐんだ。

 話の最後に、舞さんが「国境なき人権」の報告書を手渡すと、小岩牧師は「あとで見させていただきます」と、簡単な言葉を返しただけだった。

 その後、舞さんが「会って話をしたい」と連絡しても、言葉をあいまいにして避けているようだった。昨年10月、再び会った時、拉致監禁に話が及ぶと、小岩牧師は「知らない」「覚えていない」の一点張りだったという。

(「宗教の自由」取材班)