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「拉致企ての正当化は不可」


“拉致監禁”の連鎖(242)パート10
被害者の体験と目撃現場(28)
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舞さんの監禁現場に来た有馬歳弘牧師が所属する日本キリスト教団・青梅教会(東京・青梅市)

 「国境なき人権」の調査で、舞さんを取材したノート氏は「監禁先に連れて行かれるとき、それは強制だったのか」「親が脱会屋にお金を渡していたと聞いているか」など、拉致監禁された時の具体的な状況や現場の詳細を聞いてきた。

 宮村氏に髪の毛をつかまれて台所の流し台に頭を突っ込まれたことや、拉致される前に父親に顔を叩かれたことを話すと、「それは明らかに虐待だ」と目を光らせた。

 婚姻無効裁判を起こした話になると、ノート氏はより一層、厳しい表情を見せた。舞さんが経緯を詳しく話すと「拉致監禁して脱会させた状態で、夫婦を別れさせることは非常に問題だ」と言いたげに表情を強ばらせた。

 取材の最後にノート氏から「何か言いたいことがあれば」と尋ねられ、舞さんは「母も被害者だ」と訴えた。

 聖書に書き込まれた「私は愚か者のばか」という母親の文字を見せ、「親も、ここまで追い込まれている。それを指導しているのが脱会屋だ」と涙ながらに説明した。

 それから数カ月後の2011(平成23)年末、「国境なき人権」はホームページ上で「日本:棄教を目的とした拉致と拘束」というタイトルの62ページに及ぶ詳細な拉致監禁問題の報告書を発表した。その中で、拉致監禁について「拉致や強制棄教の企てを正当化することはできない。これらの行為は宗教や良心の自由権の侵害であり、拉致そのものであり、国際的な人権法規や各国の刑法から見ても違法行為だ」と強く非難した。

 拉致監禁の実態を明らかにした「国境なき人権」は、日本政府や人権擁護団体に対し、問題を放置せず解決に向けて動くようにも求めた。

 舞さんは、第三者機関の国際的な人権団体が独自に調査した結果、拉致監禁の存在を認め、非難したことに大きな感動を覚えた。

 これまで、拉致監禁の首謀者らが刑事事件として裁かれていないことに「社会正義が守られていない」と無力感さえ味わっていた。しかし「国境なき人権」が日本政府に対して「拉致監禁の被害者たちに、公式に謝罪すべきである」と強く勧告したことに、「何てすごい人たちなんだろう」と涙がこぼれそうになったと言う。

 舞さんは「この内容を被害者だけでなく、拉致監禁に関わった牧師や拉致監禁を詳しく知らない人にも知らせないといけない」と考えた。そこで、報告書の日本語版をいつも持ち歩くようにした。

 「国境なき人権」の取材を受けた後、舞さんは自身の棄教説得に関わった、日本キリスト教団・青梅教会の有馬歳弘牧師と日本イエス・キリスト教団・横浜栄光教会の小岩裕一牧師に面会を求めた。

(「宗教の自由」取材班)