厚労省検討部会はワクチン接種の勧奨中止を継続


子宮頸がんワクチン被害受け

「打たない選択を」の指摘も

 厚生労働省のワクチン副反応検討部会は25日、子宮頸(けい)がんワクチンの副反応被害を診断・研究してきた医師ら専門家の意見を踏まえ、副反応被害が予想以上に出てきている原因を討論したが、結論は出ず、当面の接種の積極的勧奨の中止を継続する形で終了した。

 同検討部会は6月14日、接種に際して義務付けられている子宮頸がんワクチンの積極的勧奨を行わないことを決定。この日の検討部会で、勧奨の再開をするか否かの結論を出すとみられていた。

 同検討部会ではまず、痛みに苦しむ副反応被害者32人を診察してきた池田修一信州大学教授(脳神経内科学)が報告。「ワクチンの副反応の症状とみられる人が28人おり、そのうち17人が自律神経の末梢交感神経の異常が起きている」と指摘した。複合性局所疼痛(とうつう)症候群と判断できるのは1人だった。

 また「全国子宮頸癌ワクチン被害者連絡会」経由の副反応被害者を診てきた佐々木征行医師(国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科)は、本人の意志に反して接種を勧められるなど、ストレスのある状態に接種時の痛みが加わり体調不良が引き起こされた可能性を指摘。そのうえで「接種しない選択肢も必要」として、定期接種化の見直しの必要性を示唆した。部会では、心因性と接種の痛みとの複合的な要因でとらえる議論が多く行われた。

 今回の診断は痛みに特化した副反応被害者の分析だったため、池田教授のところで見つかった4人の自己免疫疾患である全身性エリテマトーデスの患者は、「ワクチンとは無関係」(池田教授)として扱われた。

 だが、部会後の「被害者連絡会」記者会見で、池田利恵事務局長は、痛み以外の症例が放置されている、と疑問を表明。北海道美唄市では、記憶障害があり脳の海馬検査で異常値が出ている副反応被害者もいることが明らかにされた。

 同会見ではまた、被害者の女子生徒(中2生)が、「厚労省が勧めたワクチンで苦しんでいるのに『傍聴は無理です』と言われた」とし、「精神的なものという議論が多くてがっかりした」と感想を述べていた。