子宮頸がんワクチン接種問題 杉並区の中学生に重篤症例


副作用はインフルエンザの10倍

「中学入学お祝いワクチン」と銘打って2010年から、子宮頸がんワクチンを希望する中学生に接種してきた東京都杉並区で重篤な副反応に苦しんでいる女子中学生(14)がいることが、13日までに明らかになった。

 この中学生は11年10月に子宮頸がんワクチンであるサーバリックスの2回目(合計3回必要)の接種を指定医療機関で接種したところ、歩行困難と身体の痛み、痺れで車いすでの生活を強いられ、一時期は自分の名前さえも言えない状態になるなどした。

 母親によると、同女子生徒は症状が悪化したため入院、今年1月には通学可能となったが1年3カ月にわたって通学できない状態が続き、割り算ができないなどの症状が今も残っているという。

 接種した区内の医療機関は「サーバリックスの副反応」と診断し保健所に報告。厚生労働省の重篤副作用症例にも挙げられている。同省によると、昨年8月末の時点で全国で接種した延べ663万5千人のうち956人に副反応が起き、そのうち入院など重篤な例は88件に上っている。

 この症例は先週7日以降、杉並区議会で取り上げられており、副反応の発生率はインフルエンザワクチンの10倍程度という。区は補償する方針だが、月3万3千円余が補償される予防接種法に基づいたものでなく任意のワクチン接種であるため、補償額は今後、交渉によって決められることになる。

 政府は、閣議決定で4月から子宮頸がんワクチンの定期接種化を進める方針。こうした重篤な症例が出たことを受け、13日に質問に立った松浦芳子区議は「区が接種を見送る意向はないのか」と質したが、区側は「次年度から国が義務化するのでその動向を踏まえて対処する」とし、事実上、続行する意向を示した。

最適の予防は性モラル教育 松浦芳子杉並区議の話

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松浦芳子杉並区議

 13日の区議会での質問で示した表で分かるように、20歳までの女の子で子宮頸がんにより亡くなっている人はいない。毎年、2600人のがん死亡者が出ているという説明で、子供たちを子宮頸がん予防ワクチンでがんから防がないといけないという気持ちになるが、実情はそれとは違っている。

 また、子宮頸がんの原因とされるHPV(ヒトパピローマ・ウイルス)が性的関係により移っても、大半は自然にまた体外に出ていくし、たとえがんにまで発展するとしても、それまでに潜伏期間が数年間くらいある。

 サーバリックス(ワクチン)の有効期間は6、7年程度であり、これほどの副反応があるものを中1の女生徒に接種する必要性はないと思う。それよりは、しっかりとした性モラルを教えて、そうした関係を控えることで子宮頸がんの原因となるウイルスに感染しないようにすべきである。

 また、検診で子宮頸がんを防げるというが、10代の一番、身体的に発達する多感な時に、定期的に検診を受けるというのは心理的に相当ハードルが高い。その意味でも、性モラルを高く保つことが一番の予防であることをしっかりと教育すべきである。